来週の金融市場見通し(2018年6月4日~2018年6月8日)
■来週の見通し
イタリアでは紆余曲折の末、「五つ星運動」と「同盟」が連立政権を樹立し、再選挙が回避されることになりました。もっとも、欧州連合(EU)が緊縮財政を強いる中、減税などが実施できるかは不透明です。他方、トランプ米政権は、鉄鋼・アルミに追加関税を課す対象に、EU、カナダ、メキシコを加えました。当該3か国は報復措置の実施を表明。米国との貿易摩擦が一段と激化することには注意が必要です。
◆株価 : 貿易摩擦懸念が重し
日本株は一旦、大きめの下落となりました。イタリアをめぐる政治混乱や、トランプ米政権の保護貿易策(関税引き上げなど)が嫌気された格好です。とはいえ、イタリアについては連立政権が発足することになったため、過度な懸念は後退しつつあります。よって、日経平均株価が2万2千円を大幅に割り込む可能性は高くないとみられます。ただ、貿易摩擦のリスクはむしろ高まっているため、市場の慎重ムードは払しょくされないでしょう。
◆長期金利 : 0.05%前後でもみ合い
日銀は6月1日の国債買入れオペで、残存5年超10年以下を4,500億円から4,300億円に減額しました。当面の月間買入予定での1回当たりオファー金額は、3,000~5,000億円程度で、中間値の4,000億円が目安の金額。減額しても目安を300億円上回っており、長期金利の低下し過ぎを若干緩和するのが意図とみられます。イタリア政局への警戒を背景にした逃避需要もやや後退しており、長期金利は0.05%前後での動きになりそうです。
◆為替 : ドル円は上値の重い展開
ドル円は111.40近辺の高値を付けた後、じりじりと下落しています。米長期金利が2.8%台まで低下していることもその要因ですが、イタリアの政治混乱がひと段落したものの、米国の鉄鋼・アルミ関税がEU、カナダ、メキシコを対象に発動され、各国が報復措置を取ることを表明するなど貿易摩擦の緊張が高まっていることから、リスク回避の動きが優勢となっています。引き続きドル円は上値の重い展開が継続すると思われます。
◆Jリート : 方向感を探る
Jリートは、欧州政治の先行き不透明感で世界的にリスク回避の動きが広がり、総じて軟調な展開。ただ、長期金利が0.025%まで低下した局面ではしっかり。欧州の政治リスク後退や日銀の国債買入れ減額から、長期金利が若干ながら上昇していることは重し。もっとも、長期金利の上昇は限定的とみられる一方、Jリートの予想分配利回りは4%強と高い水準。貿易摩擦や米朝首脳会談などをにらみながら、方向感を探ることになりそうです。
■来週の注目点
家計調査(4月) 6月5日(火)午前8時30分発表
家計調査によると、実質消費支出(二人以上の世帯)は、2月に前年比0.9%減、3月に同0.7%減と、2か月連続で減少しました。4月についても小幅ながら減少が示される見込みです。
日本経済は緩やかな拡大基調にあるものの、やや力強さを欠いています。中でも個人消費の伸び悩みがこのところ目立ちます。1-3月の実質国内総生産(GDP)についても、それを主因に9期ぶりのマイナス成長となりました。今後も消費が大きく増えるとは考えにくいことから、輸出や設備投資に依存した景気が続く見通しです。
中国生産者物価指数(5月) 6月9日(土)午前10時30分発表
中国の4月の生産者物価指数(PPI)は、前年同月比3.4%の上昇と、市場予想通りとなりました。同指数は3月までは5か月連続で鈍化していました。また、同時に発表された4月の消費者物価指数(CPI)は同1.8%上昇となり、3月より鈍化しました。
中国では米国との貿易戦争をめぐる緊張から、見通しに不透明感が高まっており、PPIは2017年2月に8年ぶり高水準に達して以来、全般的に鈍化傾向が続いています。中国では景気は好調であるものの、依然として物価上昇圧力が抑制されていることから、5月のPPIは4月と同程度の前年同月比3%台半ばの上昇を想定しています。
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