来週の金融市場見通し(2018年5月28日~2018年6月1日)

■来週の見通し

トランプ米大統領は米朝首脳会談の中止を発表しました。ただ、交渉の余地を残す一方、北朝鮮も米国と会談する用意があると表明するなど、今後の動向を見守る必要があります。他方、米政権が自動車への追加関税を検討するなど、米国の保護貿易主義は懸念材料です。6月1日には欧州連合(EU)を適用外とする鉄鋼・アルミ輸入関税適用の猶予期限が切れます。来週も米国の政策にらみとなりそうです。

◆株価 :   やや軟調な展開を予想

日経平均株価は一時2万3千円台へ乗せた後、利益確定の動きが広がりました。特に北朝鮮情勢をめぐる不透明感や、米国の保護貿易策(輸入車関税の引上げ案など)が悪材料となっています。それらの懸念がくすぶり続けるほか、円安の動きが足元一服しています。そのため日経平均株価は、2万2千円台でのやや軟調な動きが予想されます。ただ、米国株が比較的底堅く推移していることから、日本株の一方的な下落は想定しにくいでしょう。

◆長期金利 : 低位で推移

長期金利は、狭いレンジでの動きが継続。物価上昇率が伸び悩む中、黒田日銀総裁が「物価見通しは下振れリスクのほうが大きい」と発言するなど、出口(金融政策の正常化)は遠く、強力な金融緩和が続くとみられます。米国の通商政策や米朝関係への警戒も、安全資産とされる国債買いにつながり、長期金利上昇の抑制要因です。米長期金利も落ち着いてきており、国内金利は低位での推移が見込まれます。

◆為替 : 方向感を探る展開か

米朝首脳会談や米中貿易戦争の先行きに再び不透明感が広がっており、ドル円はリスク回避の動きから111円台前半をピークに下落基調にあります。また、原油価格の上昇が一旦頭打ちとなり、インフレ期待が若干鎮静化していることから米国長期金利が低下しています。ドル円はこれまでの上昇局面の調整に入っていると思われ、来週は108-111円程度のレンジ内での方向感の乏しい展開を想定しています。

◆Jリート : 一進一退

Jリートは、週前半はしっかり。ただ、週央以降は米朝首脳会談をめぐる不透明感が広がったことや、トランプ米政権が自動車関税引き上げの検討を発表したことを受け、投資家心理が悪化し、上げ幅を縮小する動きに。4%強と相対的に高い予想分配利回りに着目した買いなどから底堅い動きが見込まれるものの、北朝鮮情勢や米政権の通商政策は懸念材料。米朝首脳会談などで進展がみられると、買い安心感が広がる可能性も。

来週の注目点

鉱工業生産指数(4月、速報値) 5月31日(木)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は3月に前月比1.4%上昇し、104.1(2010年=100)となりました。ただし、四半期ベースでは1-3月期に前期比1.3%低下し、2年ぶりに前期比マイナスとなりました。

4月上旬に実施された生産予測調査によれば、4月については強気の増産計画が示されています。これらを踏まえれば、4月の鉱工業生産指数は上昇が続くと見込まれます。しかし足元、在庫が積み上がっていることから、5月以降は生産調整の動きが一旦顕著になりそうです。

米雇用統計(5月) 6月1日(金)午後9時30分発表

4月の米雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比16万4,000人増となり、失業率は2000年以来初めて4%を下回る3.9%となりました。しかし今後のインフレ動向を占う上で注目の平均時給は前年比2.6%増となり、賃金の伸びが引き続き低迷していることがわかりました。

米国は個人消費を中心に、景気拡大が長期にわたり継続していますが、労働市場におけるスラック(たるみ)はいまだ解消されていないと考えられます。5月の非農業部門就業者数は19万人程度の増加、失業率は3.9%を想定しています。平均時給は、引き続き伸び悩み、4月同様の前年比2.6%程度の伸びを予想しています。

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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