来週の金融市場見通し(2018年5月21日~2018年5月25日)
■来週の見通し
北朝鮮は南北閣僚級会談を中止するとともに、米朝首脳会談についても、一方的な核放棄を強要すれば開催を再考すると伝えました。他方、17、18日の米中通商交渉では、トランプ米大統領が成功に懐疑的な見方を示すなど、予断を許さない状況です。また、イタリアでは「五つ星運動」と「同盟」の反体制派の連立政権が発足する見通しです。地政学リスク、米政権の通商政策に加え、欧州情勢にも注意が必要です。
◆株価 : 高値警戒感が圧迫
円安の進行や堅調な企業業績などを背景に、日経平均株価は上昇傾向を示しています。ただ、3月下旬につけた年初来最安値から約12%上昇しており、高値警戒感が広がっています。また、1-3月期の経済成長率がマイナスとなったことなどから、先行きの景気に対し、やや慎重な見方が増えています。加えて、米国の金利上昇といった懸念材料もあります。これらより日経平均は、2万3千円付近で上値を抑えられる展開となりそうです。
◆長期金利 : レンジ継続
米長期金利が一時3.12%と、約6年10か月ぶりの高値まで上昇したものの、国内の長期金利は0.06%までの上昇にとどまりました。5年国債入札は無難な結果で需給はしっかり。4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.7%の上昇にとどまり、2か月連続で伸びが鈍化しました。物価目標達成が目前の米国とは異なり、日本は低インフレが継続するとみられます。国内金利は当面、低位横ばいが続く見通しです。
◆為替 : ドル高地合いも上値は重そう
ドル円は、米国景気の拡大を背景にじり高基調にある米長期金利にあわせ、強含みで推移しています。一方、シリアに関する米ロの対立に加え、米のイラン核合意離脱やエルサレムへの米大使館移設に絡んだ混乱等、中東の地政学リスクの高まりを背景に、リスク回避の円買いも想定されます。また、米長期金利が3%に乗せていることを嫌気して、米国株が大きく下落した場合の影響への警戒感は強く、一本調子のドル高は想定していません。
◆Jリート : 底堅い動きの中、上値を探る
Jリートは、週央までは米長期金利の上昇が警戒され、利益確定売りに押されたものの、後半は株価が続伸する中、投資家心理が改善し、買いが優勢になりました。4月の売買動向では、海外投資家の買い越しが継続するとともに、投資信託の売りは小幅にとどまりました。銀行(日銀を除く)が久しぶりに買い越しとなったことも安心材料。予想分配利回りは4%強と、依然として高い水準。底堅い動きの中、上値を探る展開になりそうです。
■来週の注目点
貿易統計(4月) 5月21日(月)午前8時50分発表
貿易収支は3月に7,973億円の黒字となりました。輸出の伸びは鈍化したものの、輸入が減少した結果、黒字が維持された格好です。
4月についても、黒字基調が確認される見込みです。16日に発表された1-3月期の国内総生産(GDP)では、輸出は前期比0.6%増と、小幅な伸びにとどまりました。スマートフォン部品の需要鈍化などが要因とみられます。ただ、足元では円安が進んでいること、米中貿易摩擦の深刻化は回避される可能性が高いこと、などを踏まえれば、輸出は引き続き緩やかな伸びを保つ見通しです。
米耐久財受注(4月) 5月25日(金)午後9時30分発表
3月の米耐久財受注は、民間航空機の急増が寄与したことで市場予想を上回る前月比2.6%増となりました。また、航空機など輸送機器を除く受注は同0.1%増とプラス圏であったもののほぼ横ばいとなりました。
4月は、航空機および輸送機器は3月の反動で受注減少が見込まれ、前月比1.5%程度の減少を想定しています。しかし、米国景気拡大は継続しており、設備投資や鉱工業生産は引き続き底堅い動きとなっていることから、輸送機器を除く耐久財受注は同0.4%増とプラス圏での推移を想定しています。
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