来週の金融市場見通し(2018年4月16日~2018年4月20日)
■来週の見通し
中国の習近平国家主席が金融市場の開放や輸入の拡大方針を表明したことや、トランプ大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を検討するよう指示したことなどから、米中貿易摩擦や米政権の通商政策への警戒がやや後退しています。来週は、17、18日に日米首脳会談が開催されます。日米自由貿易協定(FTA)締結など、通商政策で譲歩を迫られると、投資家心理が悪化する可能性があります。
◆株価 : 底堅い推移を予想
日本株の下値不安は徐々に後退しています。米中の貿易摩擦懸念が依然くすぶっているものの、双方とも本格的な貿易戦争は回避したい様子です。また、米国で本格化した1-3月期企業決算にて、主要企業の大幅な増益が確認されつつあります。さらに、円高の進行も一服しています。これらより当面、日経平均株価は底堅く推移する見通しです。ただ、中東情勢の緊迫化懸念のほか、安倍政権の動揺が株価の上値を抑える場面も想定されます。
◆長期金利 : 低位で推移
長期金利は狭いレンジ(0.03~0.035%)での動き。米中貿易摩擦への警戒がくすぶることに加え、シリア情勢や国内政治などの不透明感から、上昇しにくい状況。債券需給もしっかり。黒田日銀総裁は再任を受けた会見で、金融正常化に向けた出口戦略については検討する局面には至っていないと述べました。2%の物価目標の達成が見通せない状況下では、現行の強力な金融緩和が継続するとみられ、長期金利は低位での推移が続きそうです。
◆為替 : 基本的にはレンジ継続か
ドル円は、106円台半ばから107円台半ばの狭いレンジ内での取引が続いています。習近平・中国国家主席が自由貿易や対話を通じた対立の解消を表明し、米中貿易戦争の拡大懸念が後退したことはドル買い要因です。一方、シリアをめぐる米ロの対立が大きな懸念となっており、ドルの上値を抑えています。中東の地政学リスクが後退する局面では、108円トライの可能性があるものの、基本的にはレンジ内での動きが継続しそうです。
◆Jリート : 方向感を探る
東証REIT指数は、米中貿易摩擦への警戒が後退し、一旦1,700ポイントを回復しました。その後、3月末の東京都心のオフィス空室率が10年ぶりの低水準となったことから買いが広がったものの、週末は利益確定売りに押される動きに。長期金利が低位で推移していることは安心材料。予想分配利回りは4.1%を超える高い水準。シリア情勢や米中の通商政策、また日米の首脳会談を確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
■来週の注目点
消費者物価指数(3月、全国) 4月20日(金)午前8時30分発表
全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、2月に前年比プラス1.0%と、消費税率引き上げの直接的な影響を除けば、2014年8月以来の上昇幅を示しました。3月についても、1%前後の上昇が見込まれます。
最近の物価上昇は、原油高に伴うエネルギー価格の上昇が主因です。そのため2月の「コアコアCPI」(生鮮食品及びエネルギーを除く指数)は、プラス0.5%にとどまっています。所得の伸びが鈍いことなどを踏まえれば、今後、物価上昇率が大きく高まる可能性は低いとみられます。
米小売売上高(3月) 4月16日(月)午後9時30分発表
米国の小売売上高は、2月に前月比0.1%減と、同0.3%程度の増加を見込んでいた市場予想に反し、前月から減少しました。特に、自動車販売の落ち込みが重石となりました。
今年1-3月(第1四半期)の米国における個人消費のペースは、良好だった前四半期と比べ、若干減速している可能性があります。しかし、雇用情勢は完全雇用に近い状態ながら、引き続き拡大しており、賃金も上昇傾向にあります。また、自動車とガソリンを除く小売売上高は継続的に上昇していることから、3月は前月比0.3%程度の増加を想定しています。
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