来週の金融市場見通し(2018年4月2日~2018年4月6日)

■来週の見通し

米政権の中国製品に対する輸入制限では、米中が水面下で交渉に入ったと伝えられ、貿易摩擦の深刻化への警戒がやや和らいでいます。また、北朝鮮の金正恩委員長が中国を訪問し、習近平国家主席との会談で非核化に尽力すると述べたことなどを受け、北朝鮮情勢の改善期待も出てきています。来週は、米通商政策の詳細や北朝鮮情勢に加え、米雇用統計や日銀短観など内外の経済指標も確認したいところです。

◆株価 :堅調な展開を予想

日経平均株価は持ち直しの動きを示しています。米中貿易摩擦を回避すべく双方が歩み寄る、との観測が広がる中、日本株は引き続き堅調な展開が予想されます。中国と北朝鮮の首脳会談が実現するなど、朝鮮半島をめぐる対話機運が高まったこともポジティブな材料です。ただ、米ハイテク株が不安定な動きをみせていることなどには要注意です。また、最近の円高などによる影響をみる上で、日銀短観における企業の景況感が注目されます。

◆長期金利 : 0.05%前後でのもみ合い

米中貿易問題の好転への期待や地政学リスクの後退などを受け、投資家心理が改善する中、安全資産とされる国債はやや売りが優勢。長期金利は0.02%から0.045%程度に押し上げられる動きに。朝鮮半島をめぐる緊張が一段と緩和すると、長期金利もさらに押し上げられる可能性も。もっとも、米長期金利が2.7%台まで低下しており、国内金利の上昇も限定的。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演も注目されます。

◆為替 :   ドル安円高地合いも動きは鈍そう

ドル円は、世界的な株式市場のボラティリティの上昇を背景にリスク回避の動きが優勢である中、トランプ政権の保護貿易政策に関する施策や発言に上値の重い状況が続いています。また、インフレ期待の低下から米長期金利は緩やかに低下していることから、来週はドルじり安の展開を想定しています。一方、本邦投資家の期初のドル買い需要や、米朝首脳会談に向けて前向きな展開があれば、リスク選好の動きから若干の戻しも想定されます。

◆Jリート :  1,700ポイント乗せをうかがう

東証REIT指数は、週初は売りに押されたものの、以降は投資家心理の改善を背景に堅調な動きに。米長期金利の低下も安心材料。高い分配利回りに着目した買いも入り、30日には一時1,700ポイントまで上昇しましたが、引けにかけては上げを打ち消す動きに。国内の長期金利は上昇気味とはいえまだ低い水準。投資家心理の改善が続き、期初の買いが強まれば、3月半ばから跳ね返されてきた1,700ポイントをしっかり上抜ける可能性も。

来週の注目点

日銀短観(3月調査) 4月2日(月)午前8時50分発表

昨年12月の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス25となりました。3月は高水準のDIを維持しつつも、若干の低下が見込まれます(なお、今回の調査では調査対象企業の見直しが行われるため、前回調査とはデータの不連続性が生じる)。

企業業績は総じて堅調ですが、最近の円高などを背景に、輸出企業の景況感はやや悪化している模様です。個人消費が伸び悩む中、非製造業の景況感も慎重化しそうです。また、中小企業では、製造業・非製造業とも、原材料価格の上昇などを受け、大企業に比べ弱めの景況感となりそうです。

米雇用統計(3月) 4月6日(金)午後9時30分発表

2月の雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比31万3,000人増と市場の予想を大幅に上回り、失業率は5か月連続で2000年以来の低水準である4.1%となりました。平均時給は前年比2.6%増となり、市場予想を下回り、やや鈍化しました。

米国は株価が大きく調整しているものの、景気拡大が継続しており、3月の非農業部門就業者数は19万人程度の増加、失業率はさらに改善し4.0%を想定しています。今後のインフレ動向を占う上で注目の平均時給は、労働市場のひっ迫から前月比2.8%程度の伸びを想定しています。

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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