来週の金融市場見通し(2018年2月5日~2018年2月9日)

■来週の見通し

トランプ米大統領による一般教書演説は、過激な発言が抑えられ、市場への影響は限定的でした。他方、米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持でしたが、声明文では物価に対する認識をやや強めるとともに、今後の利上げ継続を強調しました。米国では暫定予算が8日に失効します。暫定予算案に連邦債務上限の引き上げが盛り込まれない場合、デフォルト(債務不履行)への懸念が広がる可能性があります。

◆株価 : 上値は重いか

米国株が米長期金利の上昇などを嫌気して下落する中、国内株も利益確定売りが優勢。ドル円が、今年度の企業の想定為替レートである110円18銭を下回って推移していることも重し。もっとも、10-12月期の国内企業の業績はこれまでのところ良好な内容。米国株が持ち直せば、国内株も戻りを探る展開になりそうです。ただ、25日移動平均(2万3,545円)を下回っており、やや上値の重い展開になりそうです。

◆長期金利 : レンジ継続

長期金利は、米長期金利の上昇や根強い日銀の金融緩和策の修正観測などから、一時、昨年7月以来の0.095%まで上昇しました。ただ、日銀が2日に、残存期間5年超10年以下を対象にした国債買入れオペで、オファー額を増額するとともに、指定利回りで国債を無制限に買い入れる指値オペを実施したことを受け、長期金利は0.085%に低下する動きに。もっとも、米長期金利が落ち着かないと、国内金利の低下も限定的になりそうです。

◆為替 : 戻りを探る

ドル円は週央までは109円を挟んだもみ合いが続いていましたが、米国の利上げペースが加速するとの観測や米長期金利の上昇などから、109円台後半に戻る動きに。日銀が国債買入れオペのオファー額を増額するとともに、指値オペを実施し、国内金利を抑制する姿勢を示したものの、為替市場の反応は限定的。米金利は上昇しているものの、日銀が出口(金融政策の正常化)に向かうとの観測は根強く、ドル円の上値を抑えそうです。

◆Jリート : 底堅い

東証REIT指数は、長期金利の上昇を嫌気し、軟調な動き。急伸していただけに、利益確定売りも強まった模様です。日銀が指値オペなどで長期金利の上昇を抑える姿勢を示したものの、Jリートの押し上げは限定的でした。もっとも、Jリートの予想分配利回りは4%強と高い水準で、押し目買いから底堅い動きが継続。国内の長期金利は、米金利の上昇や日銀の金融緩和策の修正観測で下がりにくい状況です。一進一退の動きになりそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(1月) 2月8日(木)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断DI(季節調整値)は、12月に53.9と、5か月ぶりの低下となりました。1月も節目の50を上回る高水準を維持しつつ、12月に比べ、若干の低下が見込まれます。

家計部門については、ガソリンや食品の値上がりなどを受け、現状・先行きとも、景況感の低迷が予想されます。一方、企業部門では、堅調な輸出などを背景に、引き続き底堅い景況感が確認されそうです。

中国生産者物価指数(1月) 2月9日(金)午前10時30分発表

中国の生産者物価指数(PPI)は、12月に前年同月比4.9%の上昇となり、市場予想(同4.8%上昇)を上回ったものの、2016年11月以来の低い伸び率となりました。また、同時に発表された12月の消費者物価指数(CPI)は同1.8%上昇となり、市場予想を下回りました。

中国では依然として物価上昇圧力が抑制されており、景気は好調であるものの、中国人民銀行は利上げを急いでいません。PPIの伸び率の減速は建設活動の鈍化を反映しており、1月も前年同月比4.2%程度の伸び率になると想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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