来週の金融市場見通し(2017年12月4日~2017年12月8日)

■来週の見通し

米国では税制改革法案が、1日にも上院で採決される可能性が高くなっています。ただ、可決後は上下両院協議会でのすり合わせが必要で、年内成立は不透明な状況。また、米国では政府債務の上限額が決められていますが、8日に上限停止の適用期限が到来します。すぐに米国債の元利金の支払いが滞り債務不履行(デフォルト)になる可能性は低いものの、上限停止延長などの議論が難航する場合には注意が必要です。

◆株価 : 先高観と高値警戒感の綱引き

中国景気の先行き不透明感や北朝鮮の地政学リスクへの警戒が重しになり、週前半は軟調な展開。ただ、週央以降は米上院予算委員会が上院共和党の提出した税制改革案を可決したことや、金融規制の緩和期待などを背景に、投資家のリスク選好姿勢が強まり、日経平均株価は一時2万3,000円に迫りました。高値警戒感もくすぶりますが、米国で税制改革法案が早期に成立するとの観測が強まると、米国株とともに国内株も上伸する可能性も。

◆長期金利 : 低位もみ合い

日銀は、17日の残存期間「1年超3年以下」、24日の「25年超」に続き、27日に「1年以下」の国債買入れオペのオファー金額を引き下げました。国内債の利回り低下に対応した措置とみられますが、長期金利は大きく動かず。米長期金利が2.4%台に乗せても、国内金利への影響は限定的でした。ただ、米税制改革法案の早期成立の可能性が一段と強まり株価が上伸すると、国内金利への上昇圧力が強まる場面も。米債務上限問題も注意が必要です。

◆為替 : 米税制改革進展ならドル高か

北朝鮮情勢への警戒などを背景に円買い・ドル売りが優勢になり、ドル円は一時2か月半ぶりに110円台まで下落しました。その後は米経済指標の改善に加え、上院予算委員会が税制改革案を可決したことや、共和党重鎮でトランプ大統領に批判的なマケイン上院議員が税制改革案に賛成する意向を示したことなどから、ドル円は112円台を回復。来週は、税制改革法案の進展や債務上限問題をにらみながら、方向感を探ることになりそうです。

◆Jリート : 一進一退の中、戻りを探る

東証REIT指数は一進一退の動きの中、やや値を下げました。国内株が堅調に推移する中、リートを売って株式を買う動きが優勢。ただ、相対的に高い分配利回りに着目した投資家の買いが支えになり、底堅い動きが継続。米長期金利の上昇にもかかわらず、国内金利の上昇は限定的で、長期金利が低位で推移していることは支え。米国で税制改革法案の早期成立への期待が後退し、株高が一服すると、Jリート市場に資金が流入する可能性も。

来週の注目点

毎月勤労統計(10月、速報値) 12月8日(金)午前9時発表

毎月勤労統計調査によると、9月(確報値)の従業員1人あたり名目賃金は前年比0.9%増となりました。ただし、物価が緩やかに上昇する中、これを勘案した実質賃金は同0.1%減と、4か月連続で減少しました。

10月についても、賃金の伸び悩みが確認されそうです。世界経済の拡大を背景に、企業収益は総じて堅調です。しかし、競争の激化や将来の不透明感を背景に、多くの企業は賃金引上げに慎重です。そのため今後も、個人消費が力強く景気をけん引するとは期待しにくいでしょう。

米雇用統計(11月) 12月8日(金)午後10時30分発表

米国では労働市場の改善を中心に景気の拡大が続いており、12月の米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げは確実視されています。10月の同統計では、失業率は4.1%に低下し、2000年以来の低水準となり、非農業部門就業者数は市場予想には届かなかったものの、前月比26万1,000人増加となりました。11月も失業率は4.1%、非農業部門就業者数は前月比20万人程度の増加を想定しています。一方、今後のインフレ動向や個人消費を占う観点から、10月は前月比横ばいだった平均時給の増加率(予想同0.3%増加)にも注目が集まっています。

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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