来週の金融市場見通し(2017年11月27日~2017年12月1日)

■来週の見通し

米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、近い将来の利上げが正当化されるとの見方を示したものの、物価の弱含みが長引いていることは懸念材料で、来年以降の利上げペースが注目されます。米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に指名されたパウエル理事の公聴会(上院銀行委員会)での発言が注目されます。米税制改革の進展や米年末商戦に加え、内外の経済指標も確認したいところです。

◆株価 : 一進一退

日経平均株価は、2万2,000円台前半を中心にした、堅調な動きが続いています。前週の下落時に2万2,000円を大きく割り込まず、すぐに値を戻す動きになったことや、業績期待から先高観測が根強いことが背景とみられます。円高にもマイナスの反応をしなくなってきています。ただ、株価が強すぎるとの認識が広がると、再び調整する可能性も。米税制改革の行方などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆長期金利 : 低位もみ合い

長期金利はじりじりと低下し、22日には再び0.02%をつけました。米FOMCで物価の低迷が議論されたことなどから先行きの米利上げペースが鈍化するとの見方が広がったことや、国内では来年度の国債発行計画で、発行額が減額されるとの見方が背景。パウエル氏が公聴会で、利上げに慎重な姿勢を示すと、米金利とともに国内の長期金利も一段と低下する可能性も。ただ、0.0%に近づくと、低下し過ぎとの見方も広がりそうです。

◆為替 : 欧米にらみ

米税制改革の不透明感に加え、トランプ政権のロシア疑惑への警戒や先行きの米利上げペースが鈍化するとの見方などから、ドル円は一時111円に接近しました。米長期金利が上昇しにくくなっていることはドルの重し。ただ、米税制改革案が進展するとドルを買う動きが強まる可能性も。他方、メルケル独首相が進める連立協議がまとまると、ユーロ買い・ドル売りが強まり、対円でもドルが売られる可能性も。欧米にらみとなりそうです。

◆Jリート : 値固めの展開か

長期金利がじりじりと低下する中、分配利回りの高さに着目した買いなどから、東証REIT指数は続伸し、一時1,700ポイントに接近しました。その後は利益確定売りにやや押される展開に。ただ、週末には反発し、地合いはしっかり。日米の金利が上昇しにくくなっており、Jリートの予想分配利回りは4.1%強と4%を超える水準。利益確定売りから値を下げる場面も想定されますが、押し目買いが下支えしそうです。

来週の注目点

家計調査(10月) 12月1日(金)午前8時30分発表

家計調査によると、実質消費支出(二人以上の世帯)は、9月に前年比0.3%減と、2か月ぶりに減少しました。10月については、小幅な増加が見込まれます。

日本の景気は緩やかに回復しているものの、賃金の伸び悩みを背景に、個人消費は力強さを欠いています。安倍政権は「3%の賃金増」を財界に要請していますが、強制力はありません。そのため当面、消費の急拡大は期待しにくく、輸出依存の景気回復にとどまりそうです。

米個人消費支出(10月) 11月30日(木)午後10時30分発表

米国の個人消費支出(PCE)は、9月に前月比1.0%増と2009年8月以来で最大となり、また、PCE物価デフレータは前月比0.4%上昇、前年比で1.6%上昇しました(右グラフ)。個人消費支出については、9月はハリケーンで廃車が急増したことを受けた伸びだったことから10月は前月比0.3%程度の伸びが想定されていますが、ここのところ米国では個人消費主導の景気拡大が続いており、重要なインフレ指標のひとつである同物価デフレータについては、前月並みの前年比1.6%程度の上昇を想定しています。

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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