来週の金融市場見通し(2017年11月20日~2017年11月24日)

■来週の見通し

米下院は16日に税制改革法案を可決しました。上院の法案は、今月27日からの週に審議を開始する見通し。他方、ロシア疑惑を捜査するモラー特別検察官のチームが、トランプ陣営の関係者に対し、文書の提出を求める召喚状を送っていたことが明らかになり、警戒感が強まっています。また、トランプ大統領は北朝鮮をテロ支援国家に指定するかどうかについて、来週にも発表する見通し。米国にらみが続きます。

◆株価 : 米国にらみ

日経平均株価は、前週半ばまで大きく上伸した反動から、利益確定売りが広がり、週央まで6日続落。16日には一旦2万2,000円を下回りましたが、その後は水準調整が一巡したとの見方から、大きく値を戻す動きになりました。2万2,000円付近では押し目買いが広がる一方、2万2,500円を上回ると高値警戒感が強まる状況。企業の決算発表も終了し、米税制改革法案の進展や米株の動きをにらみながら、方向感を探ることになりそうです。

◆長期金利 : 一進一退の動きが継続

長期金利は、前週に大きく低下した反動から、14日には0.05%まで上昇しました。その後は、国内株が大きく下落したことから安全資産としての国債を買う動きが強まり、長期金利はやや低下する動きに。5年国債入札、20年国債入札は無難な結果で需給は崩れず。週末に、日銀が残存期間1年超3年以下の国債買入額を2,800億円から2,500億円に減額しましたが、影響は限定的。来週は手がかり難の中、一進一退の動きが続きそうです。

◆為替 : 上値は重そう

米長期金利が低下したことや、世界的な株安を背景に逃避通貨としての円を買う動きが広がり、円は強含み。週末には、トランプ政権のロシア疑惑をめぐる懸念が強まり、ドル円は113円を割り込み、一時112円40銭と10月19日以来の水準まで下落しました。来週、ロシア疑惑への懸念が一段と強まると、ドル円は下値を探る場面も想定されます。米朝関係への警戒もドルの重し。ただ、米税制改革法案が進展するとドルが強含む可能性も。

◆Jリート : 底堅い

国内株の不安定な動きが続く中、週末には高い分配利回りに着目した買いなどから、東証REIT指数は上値抵抗線となっていた25日移動平均線を上回り、終値では約1か月ぶりに1,650ポイントを回復しました。海外投資家が9月、10月と2か月連続でJリートを買い越したことも安心材料。予想分配利回りも、まだ4.2%弱と高い水準。国内株が不安定な動きとなる中、Jリートの底堅い動きが継続すると、買い安心感が広がりそうです。

来週の注目点

貿易統計(10月) 11月20日(月)午前8時50分発表

貿易収支は9月に6,677億円の黒字を記録した後、10月は小幅な黒字にとどまりそうです。ただ、輸出の底堅さは維持される見込みです。

7-9月期の国内総生産(GDP)で示されたとおり、足元の日本経済は、個人消費が低迷する一方、輸出が堅調です。今後も消費の急拡大は期待しにくいことから、輸出依存の状態が続くでしょう。この点、引き続き中国・米国向け輸出の伸びが見込まれるため、10-12月のGDPも、プラス成長を維持する見通しです。

米耐久財受注(10月) 11月22日(水)午後10時30分発表

米商務省が発表した9月の耐久財受注は、前月比2.0%増となりました。主に民間航空機の受注の著増が全体を押し上げました。10月は同0.3%程度の増加が見込まれます。

米国では景気は順調に拡大しており、12月の利上げはほぼ確実視されています。輸送機器を含む同数値は月々の振れが大きいことから、10月は0.3%程度の増加が想定されています。しかし輸送機器を除くコア資本財受注もここのところ伸びを強めており、個人消費、輸出の回復が企業に設備投資を促しているとみられることから、基本的には今後も底堅い推移を想定しています。

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