来週の金融市場見通し(2017年11月13日~2017年11月17日)

■来週の見通し

トランプ米大統領は、米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長にパウエル理事を指名しました。同理事はこれまで、イエレン議長の穏健路線を支持してきたことから、現行の緩やかなペースでの利上げや金融政策の正常化が進むとみられます。他方、米下院に続き上院も税制改革案を公表しました。法人税減税の実施時期は、下院は18年、上院は19年。双方の案には相違点も多く、審議が難航しそうです。

◆株価 : 先高観も、高値を警戒

日経平均株価は、9日には史上最高値からバブル後安値までの下げ幅の半値戻しの水準を上回り、一時2万3,382円まで上昇しました。ただ、その後は大きく下げるなど、やや荒い展開になりました。来週は、国内の決算発表も峠を越え、米税制改革案の審議や米小売売上高をにらみながら方向感を探ることになりそうです。やや不安定な動きになる場面も想定されますが、業績期待は根強く、投資家の押し目買いなどが下支えしそうです。

◆長期金利 : 米税制改革にらみ

米長期金利の低下や、日銀が実施した国債買入れオペで良好な需給が確認されたことを受け、6日には国内の長期金利は一時0.025%と、1か月半ぶりの水準まで低下しました。以降は、米長期金利が一進一退の動きになる中、国内の長期金利も低位でのもみ合いに。次期FRB議長にパウエル氏が指名されたことは安心材料。ただ、米国の税制改革で財政悪化への懸念が広がると、米金利とともに国内の金利にも上昇圧力が掛かりそうです。

◆為替 : 米税制改革進展ならドル強含み

FRB議長にパウエル氏が指名されたことで、利上げペースが加速するとの懸念が後退したことに加え、米税制改革をめぐる不透明感を背景に、ドル売り・円買いがやや優勢。ドル円は114円を挟んだ動きから、113円台前半に下落する動きになりました。米小売売上高や米消費者物価指数が上振れると、ドル円が強含む可能性も。また、米税制改革で、海外子会社が米国内に資金を戻す際の税率引下げなら、ドルが強含むことが想定されます。

◆Jリート : 底打ちを探る

東証REIT指数は、反発する場面もあったものの、週末には年初来安値を更新し、1,605ポイントまで下落。株価に比べ値動きが悪く、積極的な買いがなかなか入らない状況。ただ、次期FRB議長に穏健路線のパウエル氏が指名されたことは安心材料。また、10月の東京都心のオフィス空室率は2か月連続で低下、平均賃料は46か月連続で上昇と、改善基調が続いています。割安感は強まっており、底打ちを探ることになりそうです。

来週の注目点

GDP統計(17/7-9月期、1次速報) 11月15日(水)午前8時50分発表

日本の実質国内総生産(GDP)成長率は、4-6月期に前期比年率2.5%と、高めの伸びを示しました。その反動もあり7-9月期は同1%程度の伸びへ減速する見込みですが、緩やかながらも底堅い成長基調が続きそうです。

項目別では、実質賃金の低迷を背景に、個人消費は低調な結果が見込まれます。一方、設備投資や輸出は、海外経済の拡大を受け、増加傾向が予想されます。今後についても、日本の景気は賃金や海外の動向次第となりそうです。

米消費者物価指数(10月) 11月15日(水)午後10時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は、9月にハリケーンハービーの影響などから、エネルギー価格が大きく上昇し、前年比2.2%の上昇となりましたが、食品とエネルギーを除くコアCPIは同1.7%の上昇と、市場予想(1.8%上昇)を若干下回りました。10月のCPIは前年比2.0%の上昇、コアCPIは、同1.7%程度の上昇が予想されます。

米国では景気拡大が続いており、またここのところ原油価格が上昇基調にあることから、CPIは強めの数値が予想されます。しかし、食品とエネルギーを除くコアCPIは引き続き米国連邦準備制度理事会(FRB)の目標値である2.0%を下回る上昇率が想定されています。

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