来週の金融市場見通し(2017年10月30日~2017年11月3日)

■来週の見通し

欧州中央銀行(ECB)は、来年1月以降の量的金融緩和の規模を縮小するとともに、期間を延長しました。必要ならば期間や規模を拡大するとし、金融緩和縮小に慎重な姿勢を示しました。米トランプ大統領は11月3日までに、米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長を指名すると表明しています。人事次第では、内外の金利に上昇圧力が強まる可能性があります。米税制改革法案も確認したいところです。

◆株価 : 高値警戒感の中、上値を試すか

日経平均株価は週末、約21年3か月ぶりに2万2,000円台を回復しました。ECBが量的緩和の規模縮小を決定しましたが、緩和的な金融政策が続くとの見方が広がったこと、ドル高・円安が進行したことが背景。衆院選の与党圧勝や、本格化する企業決算への期待も株価を押し上げた格好。高値警戒感はくすぶりますが、米国の税制改革案を受け、米株が上伸すると、堅調な動きになる可能性も。FRB議長人事には注意が必要です。

◆長期金利 : レンジ継続

長期金利は、衆院選で与党が圧勝したことを受け、日銀の強力な金融緩和が当分継続するとの観測が広がり、0.065%~0.080%での落ち着いた動きに。米長期金利が、税制改革で景気が刺激されるとともに財政が悪化するとの観測から上昇したことを受けても、国内金利の上昇は限定的でした。FRB議長人事でテーラー氏が指名されると、米金利とともに国内の長期金利も上昇することが想定されますが、動きは限定的とみられます。

◆為替 : FRB人事待ち

ドル円は、衆院選の与党勝利を好感し上昇も、114円に近づくと利益確定売りに押されるなど一進一退の動きの中、週末にかけ114円台まで上昇。ECBが量的緩和の規模縮小を決定したものの、緩和的な金融政策を当面続けるとの見方が広がり、米欧の金融政策の方向性の違いが意識され、対ユーロでドル買いが進んだこと、米長期金利が2.4%後半まで上昇したことが背景。来週は、FRB議長人事、米金利動向にらみとなりそうです。

◆Jリート : 戻りを探る

Jリートは、堅調な国内株に比べ値動きが鈍く、売りが優勢。ただ、下落する場面では、値ごろ感から押し目買いも入り底堅い動き。株式市場には高値警戒感もくすぶりますが、堅調な地合いが続くと、Jリート市場から株式市場に資金が流出する可能性もあります。もっとも、予想分配利回りは依然として4.2%と高水準。長期金利が落ち着いた動きになっていることも安心材料です。株価の上昇が一服すると、見直し買いも期待できます。

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 10月31日(火)午後に結果発表

今回も金融政策方針の現状維持が見込まれます。ただし、物価見通しについては下方修正が予想されます。

消費者物価指数の上昇率は現在1%未満と、日銀のインフレ目標(2%)を大幅に下回っています。とはいえ、景気(例えば鉱工業生産)や株価は堅調なので、追加緩和の必要はないと考えられます。

ただ、非現実的なインフレ目標を掲げる限り、頻繁に見通しの下方修正を余儀なくされます。そのため、目標の柔軟運営に関し、議論が深まるかどうかが注目されます。

米雇用統計(10月) 11月3日(金)午後9時30分発表

12月の米FOMCでの利上げがほぼ確実視されており、11月の米FOMCでは、今後のインフレ動向へのイエレンFRB議長の見解が注目です。米国の雇用統計については、9月はハリケーンの影響から非農業部門就業者数は前月比3.3万人減と7年ぶりの減少となりましたが、失業率は4.2%と改善し、賃金も上昇しました。10月は前月の反動もあり、非農業部門就業者数は30万人程度の増加、平均時給は前月比0.2%増程度が想定されています。足元、米株価など資産価格は堅調な景気回復を折り込んでおり、良好な結果でも上値は限定的と思われます。

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