来週の金融市場見通し(2017年7月10日~2017年7月14日)
■来週の見通し
東京都議選で自民党が大敗したことを受け、政権運営の不透明感が警戒されたものの、日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)で企業の景況改善が確認されたことなどから、都議選の市場への影響は限定的。ただ、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に加え、九州北部の豪雨が懸念材料になりました。他方、日銀は長期金利の上昇を受け、新発10年国債を金額無制限で買い入れる指し値オペを実施しました。来週は、米雇用統計や米連邦準備制度理事会(FRB)が議会に提出する金融政策報告書に加え、12日、13日のイエレンFRB議長の議会証言などで、年内の米金融政策を占うことになりそうです。
◆株価 : 米国にらみ
都議選での自民党大敗の影響は限定的で、良好な日銀短観を受け、週初は堅調な動き。ただ、北朝鮮のミサイル発射や欧州の金融緩和策の縮小などが警戒され、欧米株とともに国内株が軟調な展開となり、日経平均株価は2万円を割り込みました。来週は、国内の材料に欠ける中、米国の金融政策をめぐる思わくや米株の動きに振らされそうです。もっとも、日銀が緩和政策を堅持する姿勢を示し、円が弱含んでいることに加え、良好な企業業績への期待などは支えになりそうです。
◆長期金利 : 一進一退
長期金利は、欧米の金利上昇を受け、上限の目安とみられていた0.1%を上回り、一時0.105%まで上昇しました。ただ、日銀が5年超10年以下の国債買入額を増額したことに加え、0.11%で新発10年国債を金額無制限で買い入れる指し値オペを通知したことから、0.085%程度まで戻る動きに。長期金利は上限0.1%を再確認したことで、上昇しにくくなったものの、欧米金利が上昇しており、低下もしにくい状況。狭いレンジでの動きが継続しそうです。
◆為替 : 上昇余地を探る
ドル円は、米長期金利の上昇を受け、ドル買い・円売り優勢。7日には、日銀が長期金利の上昇を抑えたことから、日米の金融政策の方向性が改めて確認され、一時114円に迫る動きに。しばらくは、国内の長期金利の動きが抑えられていることから、米金利の動きがドル円を左右しそうです。年内の米金融政策は、9月に保有資産の縮小決定、12月に追加利上げ実施がメインシナリオ。米雇用統計の結果や、イエレン議長の議会証言で、一段の緩和策縮小が意識されると、上値を探る可能性も。
■来週の注目点
米小売売上高(6月) 7月14日(金)午後9時30分発表
米国の小売売上高は5月に前月比0.3%減と、市場予想に反し大きめの減少となった後、6月は小幅な増加が見込まれます。
米国では雇用者数が増加しており、消費者信頼感も高水準を維持しています。しかし実質賃金が伸び悩む中、実際の消費行動では慎重姿勢が目立ちます。新車販売台数についても、今年上半期(1~6月)は前年比2.1%減と、上半期としては8年ぶりに前年の実績を下回りました。
6月の小売売上高でも消費の低迷が確認された場合、米景気の先行きに対し懸念が広がる可能性があります。その結果、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め(利上げなど)観測が後退する可能性もあるため、要注意です。
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