来週の金融市場見通し(2017年5月1日~2017年5月12日)
■来週の見通し
4月23日のフランス大統領選第一回投票では、中道・独立系候補のマクロン氏と極右政党・国民戦線(FN)を基盤とするルペン氏が、5月7日の決選投票に進出することが決まりました。直近の世論調査での支持率は、親欧州連合(EU)のマクロン氏が60%前後、反EUのルペン氏が40%前後。ルペン氏勝利なら、金融市場が荒れる可能性も。他方、北朝鮮情勢は、トランプ米大統領が、「最終的に北朝鮮と大きな紛争が起きる可能性はある」と述べるなど、依然として予断を許さない状況です。フランス大統領選後は、北朝鮮情勢に注意しつつ、米政権の予算案や、6月の米利上げなどに関心が向かいそうです。
◆株価 : 警戒しながら上昇余地を探る
フランス大統領選で、親EUのマクロン氏が勝利するとの見方が強まったことに加え、北朝鮮がミサイルの発射や核実験などの挑発行為に踏み切らなかったことから安心感が広がり、日経平均株価は約1か月ぶりに1万9,000円台を回復しました。来週5日発表の米雇用統計が良好な内容となり、フランス大統領選でマクロン氏が勝利すると、上値を探る場面もありそうです。もっとも、北朝鮮情勢は依然として重し。本格化している企業決算も確認したいところです。
◆長期金利 : 北朝鮮リスク後退なら上昇か
フランス大統領選第一回投票の結果を受け、リスク回避姿勢が弱まり、長期金利は上昇しましたが、0.025%どまり。北朝鮮リスクが意識され、0.015%まで戻されるなど、上昇の動きは限定的となりました。トランプ政権が税制改革案の概要を公表したものの、財源などの詳細は示されず。実現性に懐疑的な見方が広がり、米長期金利が低下したことも、国内金利の押し下げ材料。もっとも、一段と欧州不安が後退し、米雇用統計が良好な内容になると、日米の金利は押し上げられそうです。
◆為替 : 戻りを探る
地政学リスクに加え、EU崩壊の動きが広がるとの懸念などから、買い進まれた円ですが、フランス大統領選でマクロン氏勝利の可能性が高まったことや、北朝鮮の核実験などの挑発がなかったことから、巻き戻しの動きに。米雇用統計が良好な内容になると、6月の米利上げが意識され、ドル買いが強まる可能性も。ただ、米暫定予算は4月28日に期限となり、新たな暫定予算がまとまらなければ政府機関が一部閉鎖に追い込まれる恐れがあります。地政学リスクにも注意が必要です。
■来週の注目点
米雇用統計(4月) 5月5日(金)午後9時30分発表
米国の雇用統計では、3月に非農業部門雇用者数が前月比9.8万人増にとどまりました。ただ、1~3月の平均では同17.8万人増と、堅調な伸びを維持しています。4月についても、15万人を超える増加が見込まれます。
また、失業率については3月に4.5%と、約10年ぶりの水準へ低下(改善)しました。今後は、失業率の低下が賃金増加とインフレ率の上昇につながるかが注目されます。この点、3月の平均時給は前年比2.7%増と、2月の同2.8%増に比べ若干鈍化したものの、底堅い伸びを保っています。
4月の雇用統計で良好な雇用環境が確認された場合、6月13,14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが行われるとの観測が広がりそうです。
フランス大統領選 決選投票 5月7日(日)
フランス大統領選の決選投票は、中道・独立系のマクロン氏と極右「国民戦線」のルペン氏との間で争われます。決選投票では、穏健な路線を好む有権者がマクロン氏への支持でまとまると考えられるため、同氏が勝利するとの見方が有力です。
ただ、第一回投票で4位となった急進左派のメランション氏については、反欧州連合(EU)、反グローバリズムといった点で、ルペン氏との共通点もあります。そのため、メランション氏の支持者の投票行動など、不透明要素も残っています。
マクロン氏勝利の場合、予想どおりであるため、市場の反応は限定的とみられます。一方、ルペン氏が勝利した場合、フランスのEU離脱などが意識されることから、市場は大きく動揺する(ユーロ急落、世界的な株安など)可能性が高いでしょう。
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