来週の金融市場見通し(2016年12月12日~2016年12月16日)
■来週の見通し
欧州中央銀行(ECB)は、債券購入を来年末まで延長するとともに、来年4月以降の規模を月600億ユーロに減らすと発表しました。ドラギ総裁は、テーパリング(債券購入の段階的な縮小)ではないとしているものの、微妙な状況。ただ、国債などの購入対象を拡大し、購入額を減額したことから、長期にわたる債券購入を可能にした格好です。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げはほぼ織り込み済み。あわせて公表される政策金利見通しで来年以降の利上げ回数も確認したいところです。また、日銀短観では、想定為替レートが足元の水準を下回ると、企業業績への安心感が広がりそうです。
◆株価 : 上値を試す
週の前半はトランプ相場一服。イタリア国民投票での憲法改正否決、レンツィ首相の辞意表明の欧米市場への影響は限定的。米株が連日過去最高値を更新する中、 ECBが量的緩和政策の延長を決めたことも買い材料になり、日経平均株価は一時1万9,000円を回復しました。来週のFOMCでの米利上げは織り込み済みも、来年の利上げが意識されドル高が進行すると、さらに上値を試す動きも。ただ、短期的な過熱感には注意が必要。日銀短観も確認したいところです。
◆長期金利 : 一進一退
長期金利は、投資家のリスク選好の高まりを背景にやや軟調地合い。30年国債入札が弱めの結果になったことに加え、ECBが債券購入額を減額したことを受け、欧米金利が上昇し、国内の長期金利も一時0.06%まで上昇しました。もっとも、日銀のイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の下、30年債利回りなどに比べると、小幅な上昇にとどまりました。来週の米利上げは織り込み済みも、米長期金利が上ぶれると、国内の長期金利にも上昇圧力がかかる可能性があります。
◆為替 : FOMCにらみ
ドル円は114円を挟んだもみ合いとなっており、株式市場を横目にトランプ相場が一服した格好。株高や米長期金利の上昇に対する反応がやや鈍くなっています。来週のFOMCでの利上げは織り込み済みも、来年の利上げペースが速まるとの見方が広がると、一段高となる可能性も。9月時点のFOMC参加者の政策金利見通しでは、2017年は2回の利上げ見通し。市場は2回の利上げを完全には織り込んでいない状況。米小売売上高や米消費者物価指数なども確認したいところです。
■来週の注目点
米連邦公開市場委員会(FOMC) 12月15日(木)未明に発表
米連邦準備制度理事会(FRB)は今回、1年ぶりの利上げに踏み切る見込みです。
米国では7-9月期の国内総生産(GDP)が前期比年率3.2%増と、高めの成長率を示しました。また、11月の失業率は4.6%と、約9年ぶりの水準へ低下しました。
11月の大統領選では大方の予想に反しトランプ氏が勝利しましたが、同氏の主張する減税、インフラ投資、規制緩和などへの期待から、米国株は高値をつけています。これらより現在、利上げの障害は少ないとみられます。
注目されるのは来年の見通しですが、市場では、インフレ率の上昇により利上げペースが加速するとの見方もあります。ただ、次期政権下での経済政策の内容や効果は未だ不明確です。そのためFRBは今回、来年以降の経済見通しに関し、小幅な修正にとどめる可能性が高いとみられます。
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