来週の金融市場見通し(2016年12月5日~2016年12月9日)

■来週の見通し

石油輸出国機構(OPEC)は11月30日、8年ぶりの減産で最終合意に達しました。原油価格が持ち直すと、日本では金融緩和圧力が後退し、米国では利上げペースが速まる可能性が出てきます。来週は、米国の雇用統計発表、イタリアの国民投票を受けた一週間になります。12月の米利上げはほぼ織り込み済みで、金融市場への影響は限定的とみられます。イタリアの国民投票は反対が優勢で、警戒が必要です。8日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、資産購入の期限を延期するとともに、将来的な縮小のシグナルを発するとの観測が出てきています。欧州の政局、金融政策に振らされそうです。

◆株価 : 高値もみ合い

週前半は一旦トランプ相場が一服した格好になったものの、OPECが減産で合意したことを好感し、日経平均株価は年初来高値を更新しました。米金利が上昇し、ドル高・円安が進行したことを受けた企業業績の上ぶれ観測も押し上げ材料。来週は、米雇用統計で利上げが意識されると、ドル高・円安地合い継続から、上値を探る動きも。ただ、4日のイタリアの国民投票で憲法改正が否決されると、政局不安からリスク回避姿勢が強まり、売りが優勢になることも想定されます。

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◆長期金利 : 低位での動きが継続

10年国債入札はやや弱めの結果だったものの、市場への影響は限定的。ただ、OPECの減産合意を受け、インフレ圧力が強まるとの観測や米利上げが意識され、米長期金利が2.45%まで上昇されたことから、国内の長期金利も一時0.045%まで上昇する動きに。日銀の12月の長期国債買入れ予定額は11月から変更なし。日銀のイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の下、長期金利はゼロ%から大きく離れることはなさそうです。30年国債入札も確認したいところです。

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◆為替 : 欧米にらみ

ドル円は一旦114円で跳ね返された格好になっていたものの、OPECの減産合意を受け、米長期金利が大きく上昇したことから、一時114円後半と10か月ぶりの水準まで上昇しました。年内の利上げはほぼ織り込み済みで、米雇用統計の影響は限定的とみられます。ただ、イタリアの国民投票で憲法改正が否決されると、政局不安から円が買われる可能性も。また、ECB理事会で、資産購入の縮小が意識されると、ユーロ買い・ドル売りが優勢になり、対ドルで円が強含む可能性も。

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来週の注目点

中国貿易収支(11月) 12月8日(木)発表

中国の輸出(米ドル建て)は前年比マイナスが続いており、市場予想も下回る月が目立ちます。11月はやや持ち直すとみられるものの、依然として勢いを欠く状況が示される見込みです。

ただ、現在の中国経済をけん引するのは、所得増を背景とした旺盛な消費です。そのため、輸出の伸び悩みで経済成長率が大きく下振れするとは考えにくいでしょう。

とはいえ、輸出の減速が示された場合、中国経済に関する悲観論が再燃する可能性があります。よって、今回も貿易統計の結果を注視する必要がありそうです。

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