来週の金融市場見通し(2016年10月10日~2016年10月14日)
■来週の見通し
米司法省から巨額の和解金の支払いを求められているドイツ銀行への過度の懸念は、和解金の減額観測などからやや後退しています。また、欧州中央銀行(ECB)が資産購入の規模を段階的に縮小する(テーパリング)との観測が浮上しましたが、ECB幹部が否定したことから、テーパリングに対する警戒も和らいでいます。他方、米国では、良好な経済指標に加え、米金融当局者からの利上げに前向きな発言が相次ぎ、市場が織り込む年内の利上げ確率は、64%程度まで上昇してきています。米雇用統計などで一段と利上げ観測が強まった場合の、米金融市場の動きには注意が必要です。
◆株価 : 1万7,000円超えをうかがう
ドイツ銀行問題への懸念後退に加え、良好な米経済指標を受けて米経済が堅調との見方が広がったことや、米利上げ観測からドル高・円安が進行したことを背景に、国内株はしっかりの動きになりました。ただ、日経平均株価が1万7,000円に近づくと、利益確定売りに押される展開。米雇用統計などで一段と利上げ観測が強まったり、米大統領選テレビ討論会でトランプ氏への警戒が後退すると、1万7,000円超えをうかがう可能性も。本格化する米企業決算発表も確認したいところです。
◆長期金利 : 米金利上昇は警戒もレンジの範囲内
10年国債入札が順調な結果となり、マイナス0.07%前後での良好な需給を確認できたものの、米利上げ観測がやや強まり米長期金利が上昇したことを受け、国内の長期金利はじりじりと上昇する動きになりました。米雇用統計で堅調な雇用者数の伸びが確認されると、一段と米長期金利が上昇し、国内の長期金利にも上昇圧力がかかる可能性もあります。もっとも、9月26日以降はマイナス0.05%を下回る水準で推移しており、この水準を超えてくると押し目買いも強まりそうです。
◆為替 : 米利上げ観測にらみ
米供給管理協会(ISM)発表の9月の非製造業総合景況指数が昨年10月以来の高水準になるなど、良好な経済指標に加え、米金融当局者から利上げに前向きな発言が相次ぎ、ドル円は一時104円台まで上昇しました。米雇用統計などで利上げ観測が一段と強まったり、トランプ氏への警戒が後退すると、直近高値の104.32円(9月2日)をうかがう可能性も。米金融当局者の発言や、利上げが見送られた9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で年内の米利上げを占うことになります。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(9月) 10月11日(火)午後2時発表
景気ウォッチャー調査の現状判断DI(「良くなっている」「悪くなっている」などの回答割合をもとに指数化したもの)は、8月に前月比0.5ポイント上昇の45.6となりました。ただ、9月は小幅な低下が見込まれます。
家計部門では、実質賃金の緩やかな増加にもかかわらず、将来不安を背景に節約志向が根強い模様です。一方、企業部門については、公共事業関連の受注増のほか海外経済の回復傾向もあり、比較的底堅い景気判断が見込まれます。
総じて、日本の景気は持ち直しの動きがみられるものの力強さを欠いています。景気ウォッチャー調査の現状判断DIも、当分の間、好不調の境目である50を下回り続ける可能性が高いでしょう。
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