来週の金融市場見通し(2016年8月15日~2016年8月19日)

■来週の見通し

イングランド銀行(英中銀)の包括的な追加金融緩和や、良好な米雇用統計などを背景に、内外の金融市場はややリスクオン(選好)の動きが強まっています。米国では企業決算発表が一服、日本でも峠を越え、日米の金融政策に関心が向きそうです。米金融当局者から、年内の利上げに前向きな発言が相次ぐ中、8月26日にイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が控えます。他方、日銀は9月の会合で、経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行うこととしており、次の一手をめぐる思わくがくすぶります。投資家心理は改善していますが、徐々に様子見姿勢が強まることも想定されます。

◆株価 : 堅調地合い

良好な米雇用統計や予想を上回る米企業決算を背景に、米株は過去最高値を更新。また、独株も年初来高値を更新するなど、投資家のリスク選好が強まっています。日経平均株価の予想株価収益率(PER)は14倍前後と割高感はない水準。日銀が指数連動型上場投資信託(ETF)の買入額を倍増させたことも押し上げ材料。ドル円の底堅い動き(ドル高・円安)が続くと、一段高となる可能性があります。ただ、1万7,000円を超えてくると利益確定売りに押される場面もありそうです。

株0812

◆長期金利 : 一進一退

長期金利は、7月末の日銀金融政策決定会合を受け大きく水準訂正した後は、レンジでの動きが継続しています。30年国債入札が順調な結果となったことを受け、買い安心感が広がるとともに、押し目買いの水準感が把握できた格好です。しばらくマイナス0.05%程度が押し目買いの目安となりそうです。ただ、債券を買い進めるには材料不足。日銀の金融政策をめぐる思わくに振らされながら、一進一退の動きが続きそうです。5年国債入札も確認したいところです。

債0812

◆為替 : ドル高地合いも徐々に様子見

ドル円は米利上げ観測などを背景に、底堅い動きが続きそうです。米雇用統計が良好な内容だったことなどから、年内の利上げ観測がやや強まっています。また、投資家心理が改善し、逃避通貨である円を買う動きが弱まっていることも、ドル高・円安材料です。もっとも、市場が織り込む年内の米利上げの可能性は五分五分。26日にイエレン議長の講演を控え、徐々に様子見姿勢も強まりそうです。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨も確認したいところです。

円0812

来週の注目点

GDP統計(16/4-6月期、1次速報) 8月15日(月)午前8時50分発表

日本の実質国内総生産(GDP)は、1-3月期に前期比0.5%増(年率1.9%増)となりました。ただ、これは「うるう年効果」により押し上げられているため、4-6月期は、その反動もあり、小幅なマイナスが見込まれます。

特に、家計の節約志向を受け、個人消費が低調とみられます。とはいえ、円高などによりインフレ率が低下する中、実質賃金はプラスに転じています(賃金の伸びがインフレ率を上回る状態)。そのため、個人消費が極端に冷え込む可能性は低いでしょう。

また、政府は8月、総事業規模28.1兆円(うち、政府支出は約7.5兆円)という大規模な経済対策を決めました。その効果も見込まれることから、今年度後半のGDPは、緩やかなプラス成長へ戻るものと予想されます。

辻0812

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