来週の金融市場見通し(2016年5月30日~2016年6月3日)

■来週の見通し

国会会期末の6月1日にも、消費増税の先送りが表明されるとの観測が強まっています。消費増税の先送りが正式に表明され、大規模な財政出動が打ち出されると、国内株式市場には安心感が広がる可能性があります。2日の石油輸出国機構(OPEC)総会では、原油価格が持ち直していることから、現行の生産政策が変更される可能性は低そうです。他方、週末には米利上げに大きな影響がある米雇用統計の発表、翌週の6日にはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が予定されています。内外の金融市場は、徐々に様子見姿勢も広がりそうです。

◆株価 : 政策期待も動きにくい

財政出動や消費増税先送りへの期待がくすぶる中、日経平均株価は1万6,000円台後半を中心にしたレンジでの動きが続いています。消費増税先送りが正式に表明され、大規模な財政出動が打ち出されると、上値を探る展開も想定されます。もっとも、週末には米雇用統計、翌週の6日にはイエレンFRB議長講演、6月中旬には日米の金融政策会合、23日には英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票が予定されています。政策期待で底堅いものの、動きにくい相場が続きそうです。

株0527

◆長期金利 : 低位で一進一退

長期金利はマイナス0.1%前後での狭いレンジの動きが続いています。40年国債入札が好調な結果となり、良好な需給が確認された格好。消費増税先送りや大規模な財政出動が表明されると財政不安が強まりそうですが、日銀が巨額の国債購入を継続していることや追加緩和への期待から、債券市場への影響は限定的とみられます。たた、米雇用統計やイエレンFRB議長の講演などで米利上げ観測が強まると、若干ながらも国内金利にも上昇圧力がかかる可能性があります。

債0527

◆為替 :  米金融政策にらみ

5月18日に公表された4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、6月利上げの可能性が浮上して以降は、ドル円は強含みも、110円を超えるとすぐに押し戻される動きが続いています。消費増税の先送りが表明され、大規模な財政出動が打ち出されるとリスクオンから円売りが優勢になる可能性も。米利上げについては、市場では6月利上げなしとの見方が多いものの、予断は許さない状況。3日の米雇用統計や6日のイエレンFRB議長の講演までは方向感は出にくそうです。

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来週の注目点

米雇用統計(5月) 6月3日(金)午後9時30分発表

米国の非農業部門雇用者数は、4月に前月比16.0万人増と、7か月ぶりの少ない増加にとどまりました。5月は増加幅を若干拡大する見込みです。

最近、連邦準備制度理事会(FRB)の幹部は、6月に利上げを行う可能性がある旨を相次いで表明しています。ただ、利上げ判断にあたっては今後の経済指標が重要、との考え方は不変です。

この点、6月14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)までに発表される重要指標は多くないことから、今回の雇用統計は、利上げ判断に大きな影響を及ぼしそうです。その際には、雇用者数のほか失業率や平均時給など、複数の項目が総合的に検討されるものとみられます。

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