来週の金融市場見通し(2016年5月23日~2016年5月27日)

■来週の見通し

5月18日に公表された4月の米連邦公開市場委員会(FOMC、26~27日)の議事要旨では、今後入手されるデータが引き続き良好に推移した場合には6月会合で利上げすることが適切との見方が大勢となっていることが明らかになりました。この議事要旨や利上げに前向きな米金融当局の発言などを受け、6月の利上げが意識されてきていますが、市場が織り込む6月の利上げの確率は30%程度とまだ半身の姿勢。27日にはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が予定されています。利上げに前向きな姿勢が示された場合には、6月利上げの可能性が大きく引き上がる可能性があります。

◆株価 : 堅調地合いも動きにくい

政府は経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」の素案と、「一億総活躍プラン」をまとめましたが、具体策としては小粒との評価で、株価の押し上げにはやや力不足。来週26-27日の主要7か国(G7)伊勢志摩サミットで、財政政策で協調できるかが注目されます。他方、4月の米FOMCの議事要旨などで、6月の米利上げの可能性が出てきました。ドル高・円安地合いが強まると、国内株も強含むことも想定されます。ただ、サミットなどを控え、動きにくい相場になりそうです。

株0520

◆長期金利 : 米金利にらみも一進一退

4月の米FOMCの議事要旨などで、6月の米利上げの可能性が出てきたことを受け、長期金利は一時マイナス0.075%まで上昇しましたが、翌日には押し目買いも入り、再びマイナス0.1%前後まで低下する動きになりました。米利上げに関しては、イエレンFRB議長の発言などを確認する必要があり、決め打ちはできません。米金利の動きも今のところ限定的。日銀の追加緩和への期待もくすぶる中、マイナス0.1%前後の動きが続きそうです。

債0520

◆為替 : ドル高地合い

4月の米FOMCの議事要旨や米金融当局の発言を受けて、6月利上げが意識されたことから、ドル円は当面のレンジの上限とみられていた110円程度まで上昇しました。6月のFOMCまでに、米利上げに影響を与えそうなイエレンFRB議長の講演が2回予定されており、予断を許さない状況がしばらく続きそうです。ただ、市場の予想より米金融当局者は利上げに前向き。米金融当局はなかなか利上げに動かないとの見方が修正されると、ドル円は上値を探ることになりそうです。

円0520

来週の注目点

主要7か国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット) 5月26、27日開催

洞爺湖サミット以来8年ぶりに、日本でG7 サミットが開催されます。

最近は、主要な新興国を含む主要20か国・地域(G20)首脳会議の重要性が増しています。とはいえ、G7サミットの方が参加国の意思統一を図りやすいという利点があります。議題は世界経済の成長、テロ対策、エネルギー政策など多岐にわたっており、議長国の日本には、世界的な課題に関する議論を主導することが期待されます。

金融市場では、財政出動での政策協調などが注目されています。しかしこの点では、経済が比較的好調なドイツなどが慎重です。また、財政状態の最も厳しい日本が財政拡大を呼びかけることには疑問も示されています。よって、積極的な財政拡大で合意に至る可能性は低いでしょう。

辻0520

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