来週の金融市場見通し(2016年5月9日~2016年5月13日)

■来週の見通し

日銀は4月の金融政策決定会合で追加緩和を見送りました。市場では資産買入れの規模拡大などへの期待が強まっていただけに失望が広がり、株価は急落、円は急伸しました。もっとも、6月もしくは7月の会合での追加緩和への期待は残ります。12日に公表される「金融政策決定会合における主な意見」(4月27、28日分)が参考になる可能性があります。他方、米国では雇用統計を受けて、6月もしくは7月の利上げの有無を占うことになります。米雇用統計を受けた米金融当局者の発言、週末に発表される米小売売上高も確認したいところです。

◆株価 : 戻りを探る

日銀の追加緩和見送りを受け一気に株安・円高が進行しました。ドル円はやや戻っていますが、107円台と円高水準にあり、企業業績への悪影響が懸念されます。来週は、トヨタなど自動車各社の決算発表が予定されており、業績見通しに注目が集まりそうです。5月は、1億総活躍プラン策定、G7・伊勢志摩サミット(26-27日)が予定されており、経済対策や消費増税の再延期への期待は下支え材料。決算や為替をにらみながら、戻りを探ることになりそうです。

株0506

 

※レンジについては、現在見直し中につき表記しておりません。

◆長期金利 : 低位もみ合い

債券市場は、株安・円高を受け逃避需要が強まり、10年国債利回りである長期金利は、マイナス0.1%を下回る水準での推移になっています。日銀のマイナス金利政策や巨額の国債買入れに、逃避需要が加わった格好です。もっとも、日銀の0.1%のマイナス金利を大きく下回るには、日銀がマイナス金利幅を拡大することが必要で、低下し過ぎへの警戒も広がりそうです。米雇用統計を受けた米金利の動きや、株価などをにらみならが、低位でもみ合う動きになりそうです。

債0506

◆為替 : 方向感を探る

日銀が追加緩和を見送ったことに加え、米国の1-3月国内総生産(GDP)が減速したことを受け、米利上げ観測が後退したことなどから、ドル円は一時105円台まで下落しました。もっとも、米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、4月以降の経済成長の持ち直しを予想していると述べるとともに、年内2〜3回の利上げが妥当とし、利上げにやや前向きな見方を示しました。米雇用統計および米金融当局者の発言から、ドル円の方向感を探ることになりそうです。

円0506

来週の注目点

米小売売上高(4月) 5月13日(金)午後9時30分発表

米国の個人消費動向を見る上で重要な小売売上高は、3月に前月比0.3%減と、予想外の減少を示した後、4月は増加に転じる見込みです。

米国では雇用情勢は堅調を維持しており、可処分所得も伸びています。しかし、家計は慎重姿勢を崩していない模様で、消費は勢いを欠いています。

これらを背景に、1-3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率0.5%増にとどまりました。4月以降も低成長が続く可能性が高まった場合、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げは、年後半へ先送りされそうです。そのため、今回の小売売上高などで、米景気の基調を見定める必要があります。

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