来週の金融市場見通し(2016年4月4日~2016年4月8日)
■来週の見通し
4月1日に発表された日銀の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス6と12月の前回調査のプラス12から悪化しました。非製造業はプラス22と前回25から低下し、ともに事前予想を下回りました。加えて、16年度の想定為替レートは1ドル=117円46銭で、大企業全産業ベースで経常利益は前年度比2%減益見込み。ドル円の設定がやや楽観的で、業績悪化への警戒も強まった格好です。日銀短観の悪化で、政策期待も広がりそうですが、催促相場(一段の株安・円高)には注意が必要です。
◆株価 : 戻りを探る
もみ合いが続いていた日経平均株価ですが、日銀短観が予想を下回ったことから売りが先行、リスクオフ(回避)からドル円も下落し、一気に1万6,100円台に急落しました。恐怖指数と言われる日経平均VIも上昇し、不安定な状況です。ただ、政策期待が高まれば押し目買いも強まりそうです。米雇用統計など経済指標で米景気の回復が確認されると、投資家心理が改善する可能性も。もっとも、早期利上げ観測から米株が下落すると、国内株の戻りは限定的になりそうです。
◆長期金利 : 一進一退
3月下旬は、長期金利はマイナス0.1%を挟んだもみ合いが続いていましたが、4月1日には一時マイナス0.03%まで上昇しました。これまで引け値でマイナス0.1%を下回ったのは3月23日の1日だけ。マイナス0.1%が当面の下限の目安で、この水準に近づくと警戒感が強まる動きが続きそうです。米雇用統計などで米国の早期利上げ観測が再び強まると、若干ながらも国内の長期金利が押し上げられる可能性も。5日の10年国債入札で、期初の需給も確認したいところです。
◆為替 : 米金融政策にらみ
米金融当局者から利上げに前向きな発言が相次ぎ、ドル円は113円台後半で上値を探る展開となっていましたが、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が早期利上げに慎重な姿勢を示したことで一気に112円台に戻る動きになりました。日銀短観が予想を下回ったこともドル円の重しに。米雇用統計が事前予想を上回ると、米利上げが意識される可能性も。米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録、イエレン議長が参加するパネル討議(7日)も確認したいところです。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(3月) 4月8日(金)午後3時発表
景気ウォッチャー調査の現状判断DI(ディフュージョンインデックス:「良くなっている」「悪くなっている」などの回答割合をもとに指数化したもの)は、2月に44.6と、2か月連続で低下しました。また、良し悪しの境目である50を7か月連続で下回りました。3月についても、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のいずれも低調な結果が見込まれ、DIは50を下回る見通しです。
2月分の「景気の現状に対する判断理由等」を見ると、個人消費の低迷が景況感を圧迫している姿が鮮明です。また、日銀のマイナス金利政策が年金生活者などの先行き不安を強めているほか、今春の賃金引上げ幅が昨年を下回るとみられる中、所得増への期待が後退しています。これらより、当分の間、景況感が急速に改善するとは考えにくいでしょう。
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