来週の金融市場見通し(2016年3月7日~2016年3月11日)

■来週の見通し

前週末に、昨年10-12月の米実質国内総生産(GDP)改定値が上方修正されたことに加え、今週は米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が市場予想を上回るなど、米景気指標の改善を受け、米経済の減速懸念が和らいでいます。原油価格が持ち直していることも、投資家心理を改善させている模様です。来週10日に開かれる欧州中央銀行(ECB)の理事会では、追加緩和策が打ち出されるとみられます。昨年12月の追加緩和では、内容が小粒との見方から市場に失望感が広がりました。前回の反省を踏まえ、思い切った緩和策が打ち出されると、内外の金融市場に安心感が広がりそうです。

◆株価 : 一段の戻りを試す

日経平均株価が4連騰で1万7,000円台を回復するなど、年初からのリスクオフ(回避)が後退して、ややリスクオン(選好)に傾いてきています。5日移動平均線が25日移動平均線を上抜けるミニゴールデンクロスを形成していることも安心材料。また、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の買いが継続しているとみられることも下支え材料です。米雇用統計で米利上げ観測が若干強まり、ドル高・円安が進行すると、一段高となる可能性も。

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◆長期金利 : 居所を探る

10年国債入札は落札利回りがマイナスとなったものの波乱なく通過しましたが、株高で安全資産とされる日本国債を買う動きがやや弱まり、前週末にマイナス0.070%だった長期金利は、一時マイナス0.015%に押し戻される動きに。もっとも、30年国債利回りが一時0.705%、20年国債利回りは0.42%まで低下して過去最低を更新するなど、プラス圏にある超長期国債の利回りが低下してきており、長期金利の上昇も限定的。マイナス金利政策下での居所を探る動きが続きそうです。

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◆為替 : 戻りを探る

米景気の先行き不安が後退してきていることに加え、原油価格が持ち直していることから、リスク回避の円買い需要はやや弱まっています。米雇用統計で、早期の利上げ観測が強まると、ドル円が上伸する可能性があります。また、ECBが追加緩和に踏み切り、ユーロ売り・ドル買いが強まると、対円でもドルが強含む可能性も。ただ、翌週に米連邦公開市場委員会(FOMC、15-16日)を控えることから、ドル円の動きは限定的となりそうです。

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来週の注目点

欧州中央銀行(ECB)理事会 3月10日(木) 午後9時45分結果発表

今回のECB理事会では、追加的な金融緩和措置の決定が予想されます。具体的には、中銀預金に対するマイナス金利幅の拡大(現行のマイナス0.3%からマイナス0.4%程度へ)が見込まれます。

インフレ率の低下や景気の下振れ懸念を背景に、ドラギECB総裁は1月の理事会以降、3月に追加緩和を行う可能性を示唆しています。そのため何らかの追加緩和が行われるのは確実、との観測が優勢です。

ただ、金融市場はすでにかなりの程度、そうした観測を織り込んでいます。よって、追加緩和の内容がマイナス金利の小幅な拡大にとどまり、資産買入額(現行月600億ユーロ)の拡大などは見送られた場合、市場の失望を呼ぶ恐れがあります。

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