来週の金融市場見通し(2016年2月29日~2016年3月4日)
■来週の見通し
来週は、国内では29日に鉱工業生産指数、1日に10-12月期の法人企業統計調査、米国では1日に米ISM製造業景況指数、2日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)、3日に米ISM非製造業景況指数、4日に米雇用統計、中国では1日に製造業購買担当者指数(PMI)など、重要な指標の発表が予定されています。2月上旬は、米ISM製造業景況指数が4か月連続で、米ISM非製造業景況指数が3か月連続で縮小したことを受け、米経済の先行き不透明感が広がりました。5日に中国全人代開幕も控え、気の抜けない相場となりそうです。
◆株価 : 戻りを探る
投資家の不安心理を示す恐怖指数ともいわれるVIX指数は20ポイントを下回ってきており、リスク回避姿勢がやや後退してきています。ドル円が下落したものの、111円割れが回避されたことも安心材料です。G20財務相・中央銀行総裁会議で、金融市場の混乱への配慮や景気刺激策への支援などが示されると、さらに安心感が広がる可能性もあります。とはいえ、来週は内外で重要指標の発表が目白押し。これらの指標を確認しながら、戻りを探ることになりそうです。
◆長期金利 : 低下一服
マイナス金利政策を背景に、長期金利は一時マイナス0.075%と過去最低を更新しました。その影響はさらに年限の長い債券に波及しており、40年国債の利回りも1%を下回りました。1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比で横ばいと、低インフレが継続する中、金利は上昇しにくい状況です。とはいえ、長期金利の水準は、日本銀行当座預金の一部に適用される金利のマイナス0.1%まであとわずか。低下し過ぎへの警戒感も広がりそうです。
◆為替 : 一進一退
ドル円は下落も111円強でとどまり、底割れを回避したことに加え、投資家のリスク回避姿勢がやや後退してきていること、また米国の利上げについても、年内利上げの観測がやや強まったことなどから、ドル安・円高が一服した格好となっています。もっとも、まだ112円~113円程度と低い水準。米国や中国景気の先行き不安が後退すると、円を買う動きが一段と弱まる可能性も。ただ、週末に米雇用統計の発表を控えることから、方向感は出にくそうです。
■来週の注目点
米雇用統計(2月) 3月4日(金)午後10時30分発表
米国の非農業部門雇用者数は、1月に前月比15.1万人増と、20万人程度の増加を見込んでいた市場予想を下回りました。ただ、2月は20万人を超える増加が見込まれ、雇用情勢の底堅さが示されるものとみられます。
また、1月は失業率が4.9%へ低下(改善)したほか、平均時給は12月に前年比2.7%増となった後、1月も同2.5%増と堅調です。
市場では現在、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースは極めて緩慢との見方が優勢です。しかし、今回の雇用統計で賃金などの伸びが確認されれば、利上げ観測が再び強まる可能性があります。
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