来週の金融市場見通し(2016年2月1日~2016年2月5日)
■来週の見通し
米連邦準備制度理事会(FRB)は1月26-27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、金融政策の現状維持を決めました。注目された声明文では、景気認識を若干下方修正しましたが、次回3月での利上げの可能性を残したとして、金融市場はやや期待外れとの反応になりました。他方、日銀のマイナス金利導入の決定は、市場のサプライズとなりました。日銀の金融政策は、これまでの「量的・質的金融緩和」に、「マイナス金利」を加えた「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」に変わりました。今後は巨額の資産購入に加え、マイナス金利が、国内景気、金融市場を支えることになります。
◆株価 : 上値を探る
日銀がマイナス金利を導入したことがポジティブ・サプライズとなり、日経平均株価は1万7,500円を回復しました。来週は、この日銀のマイナス金利効果が続くかどうかが注目されます。中国では、1月の世界的な金融市場の混乱のきっかけの一つとなった景況感指標が発表されます。また、週末には米国の利上げペースを占う雇用統計の発表を控えます。日銀のマイナス金利の影響や中国情勢の落ち着きなどを確認しながら、上値を探ることになりそうです。
◆長期金利 : 低位もみ合い
日銀のマイナス金利導入を受け、長期金利は一時0.09%と、1月14日につけた過去最低の0.190%を大きく下回りました。5年債利回りも一時マイナス0.085%まで低下しました。巨額の国債買入れに加え、マイナス金利導入で、国内の金利は一段と低位での推移が見込まれます。米国では、3月の利上げの可能性が残るものの、米長期金利が落ち着いた動きになっていることも、国内債の安心材料です。しばらくは、マイナス金利導入の下での、居所を探る動きになりそうです。
◆為替 : 上値を探る
ドル円も、日銀のマイナス金利導入を受け、118円半ばから121円40銭強まで上昇しました。その後、ややドル売り・円買いに押されましたが、再びドル高・円安地合いに。FRBが3月利上げの可能性を残していることも、ドルを支えそうです。来週発表される中国の景況感指標(製造業PMI)は大きな回復は見込みにくく、再び中国不安が強まる可能性もあります。株価同様、日銀のマイナス金利の影響や中国情勢の落ち着きなどを確認しながら、上値を探ることになりそうです。
■来週の注目点
米雇用統計(1月) 2月5日(金)午後10時30分発表
米国の非農業部門雇用者数は昨年12月に前月比29.2万人増と、20万人程度の増加を見込んでいた市場予想を大きく上回りました。1月については、記録的大雪の影響もあり、増加数は20万人を若干下回るものと見込まれます。
また、賃金の動向が注目されます。12月の雇用統計では、平均時給が前月比横ばいにとどまりました。1月も大幅な伸びは示されない可能性が高いとみられます。
今回の雇用統計が精彩を欠く結果となった場合、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げのペースは緩慢なものになるとの期待が広がりそうです。そのため、低調な雇用統計は、金融市場の大きな逆風にはならない見込みです。
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