来週の金融市場見通し(2015年12月21日~12月25日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、9年半ぶりの利上げに踏み切りました。決定当日、米株、ドルは上昇、米長期金利は小幅な上昇にとどまるなど、利上げ開始は波乱なく通過しました。利上げを受けたアジア各国・地域の主要株価指数も軒並み上昇、ドル高に伴うアジア通貨下落も限定的と、内外の金融市場で安心感が広がった格好です。米利上げ開始への警戒は後退し、今後は、内外の景気指標や企業業績などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 : 戻りを探る

米利上げ開始への警戒や、ドル安・円高の進行、原油価格の下落を受けた投資家心理の悪化などから、日経平均株価は一時1万8,600円割れも、米利上げ決定で、米株高、ドル高となったことを好感し、持ち直しの動きに。ただ、18日に日銀が発表した「量的・質的金融緩和」の補完措置は、市場の失望感を誘うものになってしまいました。日米の金融政策会合が終了し、来週は、クリスマスラリーが期待される米株や、ドル円などを睨みながら、戻りを探ることになりそうです。

※日銀は12月17-18日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決めるとともに、「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置を導入しました。「量的・質的金融緩和」の円滑な遂行のための措置として、償還元本の再投資を含めると今後の買入れ額が増大することが見込まれる長期国債について、買入れの平均残存期間を7年~10年程度から7年~12年程度に長期化するとともに、Jリートについて、銘柄別の買入限度額を発行済投資口数の5%から10%に引き上げました。日銀の買入れの限界が懸念されていましたが、今回の措置を受け、国内債やJリート市場には安心感が広がりそうです。他方、ETFについては新たに3,000億円の枠が設けられましたが、小規模であり影響は限られそうです。このETF以外、買入規模の拡大ではないため、円安への寄与はほぼないものとみられます。また、「量的・質的金融緩和」の延命措置とみられることから、規模拡大などの追加緩和への期待が後退する可能性があります。

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◆長期金利  レンジが下方シフト

原油安を受けて低インフレの長期化観測が強まっていることや、米利上げ開始でも米長期金利が落ち着いた動きになっていることに加え、日銀が国債買入れの平均残存期間を長期化したことを背景に、長期金利は一時0.265%まで低下しました。来年度の国債発行額が減額されるとの観測も、長期金利上昇の抑制要因。もっとも、0.2%半ばに近づくと、低下し過ぎへの警戒感も強まりそうです。米金利が次回の利上げを織り込む形で上昇してくると、国内金利も下がりにくくなりそうです。

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◆為替 : 円安地合いも動きは鈍いか

ドル円は、原油安などから投資家のリスク回避姿勢が強まり、一時120円台まで下落しました。ただ、米利上げ決定を受け、122円台に戻る動きに。利上げ開始でも米長期金利の上昇は小幅にとどまっています。日米の金融政策の方向性の違いからドル高・円安地合いも、動きはやや鈍そうです。また、日銀の追加緩和への期待がやや後退していることも、ドル円の上値を抑える可能性があります。他方、米金利が次回の利上げを織り込む形で上昇してくると、ドル買いが強まりそうです。

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来週の注目点

消費者物価指数(11月全国) 12月25日(金)午前8時30分発表

全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、10月に前年比マイナス0.1%と3か月連続で低下した後、11月は同0.0%(横ばい)が見込まれます。

原油価格が急上昇する可能性は低い中、当面、消費者物価指数の上昇率は0%前後で推移すると予想されます。日銀は「2%」の物価上昇目標を当初の期限(今年3月頃)までに実現できませんでしたが、来年もほぼ不可能とみられます。

しかし円安などに伴い食品などは値上がりしており、個人消費を圧迫しています。さらなる円安は弊害が大きいため、日銀が来年の早い段階で追加緩和を行う可能性は低いでしょう。こうした中、物価目標は次第に形骸化していくと見込まれます。

CPI

 

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