強気相場で考えるべきコト
連休明けで迎えた今週の株式市場ですが、日本株(日経平均とTOPIX)が連日で最高値を更新する場面を見せるなど、上方向を目指す動きが活発化しています。さすがに14日(木)の取引では下落しているものの、相場のムードはかなり強気に傾いていると言えます。
日本株の上昇は先週から本格化していますが、その要因として、米国の関税政策に対する過度な警戒感が後退したことや、米国の利下げ期待が高まったこと、米テック株の買い戻しの動きが出始めたこと、そして、国内の決算発表がピークを迎える中、米関税の企業業績に与える影響が限定的にとどまりそうという見通しが優勢になったことなどが挙げられます。
とりわけ、米国の利下げについては、今週発表された米7月消費者物価指数(CPI)が無難な結果になったことで、9月の米FOMC(連邦公開市場委員会)で利下げが実施される見込みがさらに強まっています。中には9月FOMCでの利下げ幅が0.25%ではなく、0.5%に拡大するのではないかといった見方も浮上しています。
足元の相場は、利下げを通じて米国金利が低下することによって、相対的に債券市場と比べた株式市場の割高感が薄れ、それにより「まだ株は買える」というリクツになっていますが、利下げ幅を拡大させるのは、想定以上に景気が後退してしまい、それに対処するためというのが基本です。米経済指標を見る限り、米国経済はまだ深刻な景気後退に陥っているとは言えず、どちらかというと、足元で期待されている利下げは、米労働市場が不安定なっており、これから景気後退が訪れるかもしれないために行われる「(景気悪化の)予防的利下げ」になります。
実際に、米10年債利回りは低下傾向にあるものの、4.2%台にとどまっていて、債券市場では株式市場が上昇しているほどの利下げ期待を織り込んでいないように見えます。
また、上昇するにしても、下落するにしても、相場が大きく動いている際に意識しておきたいのは、「(株価が)高いか安いか?」と、「(相場が)強いか弱いか?」という2つの視点です。
例えば、13日(水)取引終了時点の日経平均の予想PERは17.68倍で、昨年5月7日の17.74倍以来のところまで上昇しています。ここ10年間の平均が12倍台から15倍台くらいであることを踏まえると、PERで見た日経平均はかなり割高です。
PERは「株価÷1株あたり利益(EPS)」で計算され、PERの上昇を抑えるには、株価が下がるか、EPSが増えることが必要になります。13日時点の日経平均のEPSは約2,447円ですので、仮にPERの水準が変わらず17倍と仮定したときの日経平均は、5%増益で43,678円、10%増益で45,758円となります。日本企業が10%の増益を実現できるのであれば、株価はまだまだ上を目指して行けると思われますが、それを株式市場が先取りして織り込んでいくには時間的にちょっと早い気がします。
そう考えると、日経平均が43,000円台になると売りが出始めている状況も何となく頷けます。もちろん、相場のムードは強く、株価が上振れる場面もありそうですが、「(株価が)高いか安いか?」の視点では、現在の株価は高いと言えるため、ここからの上値の深追いには注意する必要がありそうです。

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