来週の金融市場見通し(2020年12月21日~2020年12月25日)

■来週の見通し

英国に続き米国でも新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりました。国内では新型コロナの新規感染者数が過去最多を更新する中、米製薬大手ファイザーが18日、ワクチンの製造販売承認を厚生労働省に申請したと発表しました。他方、米連邦公開市場委員会(FOMC)では2023年末までゼロ金利政策を継続する見通しが維持されるとともに、米国債などを大量に買い入れる量的緩和政策の長期化も示唆されました。米国で9,000億ドル規模の追加の経済対策がまとまると、市場に安心感が広がることも想定されます。

◆株価 :小幅な上昇か

日本株は、小幅な上昇が予想されます。英米などにおける新型コロナのワクチン接種開始に加え、米国の追加経済対策への期待や世界的な金融緩和が、引き続き投資家のリスク選好姿勢を支える見通しです。また、12月の日銀短観で示されたように、足元の国内景気は依然として改善傾向にあります。これらを背景に日本株は底堅い動きが見込まれるものの、国内での新型コロナの感染拡大や円高の進行が株価を圧迫する場面もありそうです。

◆長期金利 :低位もみ合い継続

12月の日銀短観で企業の景況感が改善したことは長期金利の押上げ材料も、内外で新型コロナの感染に歯止めがかからない中、経済活動の制限強化への警戒から、長期金利は15日にはゼロ%まで低下しました。米国でゼロ金利政策や量的緩和が当面維持される見通しが示されたことは、長期金利上昇を抑制しそうです。一方、景気が持ち直す中、一段の金利低下は限定的とみられます。来年度の国債発行計画も確認したいところです。

◆為替 :下値模索

ドル円は下値模索の展開が続きそうです。FOMCで債券購入年限の長期化が見送られたことで、米長期金利は小幅に上昇したものの、ドル円を押し上げるには至りませんでした。米追加経済対策協議では、近日中の合意に向けて期待が高まっているものの、対策の金額が小規模化することで米長期金利の上昇余地は限定的とみられます。引き続きドル円は上値の重い中、徐々に下値を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :引き続き上値を探る

東証REIT指数は、新型コロナワクチンの普及や米追加経済対策への期待などから上昇も、週末には利益確定売りに押されました。米FOMCで量的緩和の長期化が示唆され、大規模な資金供給が続くとの見方は安心材料です。また、内外で低金利政策が長期化する中、Jリートの4%を超える予想分配金利回りは魅力的な水準です。コロナの感染動向や経済活動制限の動き、またワクチンの普及などを確認しながら、上値を探ることになりそうです。

来週の注目点

失業率、有効求人倍率(11月) 12月25日(金)午前8時30分発表

10月の失業率は3.1%と前月比0.1ポイント上昇(悪化)し、厳しい雇用情勢が示されました。一方、同月の有効求人倍率(求職者1人あたりの求人件数)は1.04倍と、前月比0.01ポイント上昇(改善)しました。ただ、1倍未満の地域も多く、明確な改善とは言えない状況です。

新型コロナウイルスの感染拡大などを背景に、11月の失業率、有効求人倍率においても、精彩を欠く雇用情勢が確認される見込みです。今後についても、Go toキャンペーンの見直しなどを受け、宿泊業、飲食サービス業の雇用を中心に、厳しい情勢が続く見通しです。

米個人消費支出(11月) 12月23日(水) 22時30分発表

10月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.5%増となり前月の同1.2%増から減速しました。また、PCE総合価格指数は前年比1.2%となり、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標(2%)に届きませんでした。

労働市場は緩やかながら回復を続けていますが、米国の新型コロナの感染者数は依然として増加しており、米国各地で行動制限が行われています。米追加経済対策協議については合意への期待が高まっているものの、インフレが中長期的に低迷すると想定される中、今後、個人消費支出はさらに鈍化する見通しです。

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