来週の金融市場見通し(2020年12月14日~2020年12月18日)
■来週の見通し
米国で新型コロナウイルスの新規感染者数が20万人を超え、日本でも過去最多を更新するなど感染が広がっています。一方、米ファイザーと独ビオンテックが開発したワクチンの接種が英国で8日から始まったことや、米国でも食品医薬品局(FDA)が同ワクチンの緊急使用の支持を決定し、年内にも供給と接種が始まる見通しとなったことは明るい材料です。来週は、コロナの動向や米追加経済対策をめぐる動きに加え、内外の経済指標、米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加緩和の有無も確認したいところです。
◆株価 :方向感を欠く展開に
日本株は、方向感を欠く展開が予想されます。国内外の経済対策や金融緩和、および新型コロナのワクチンへの期待などが市場心理をサポートするとみられる一方、新型コロナの世界的な感染拡大に対する懸念などが、日本株の上値を抑える見通しです。そうした中、日本では日銀短観などが発表されるほか、米国や中国など海外でも経済指標が多数発表されることから、それらの結果次第では、日本株の変動が大きくなる場面もありそうです。
◆長期金利 :FOMC待ち
5年国債入札は無難な結果、20年物国債入札はやや弱めだったものの、投資家の押し目買い意欲は強く、国内債は超長期債を中心に堅調な動き(価格上昇、利回り低下)になりました。欧州中央銀行(ECB)が追加緩和を決定したことも、長期金利の押し下げ材料になりました。FOMCで追加緩和が決定されると、内外の金利に低下圧力がかかりそうです。もっとも、国内の長期金利はゼロ%に近づいており、一段の低下は限定的とみられます。
◆為替 :レンジ継続
ドル円は、狭いレンジ内で神経質な動きとなりそうです。米追加経済対策をめぐる協議、および英国と欧州連合(EU)の通商交渉に明確な動きが出るまで、為替市場は膠着状態となりやすいでしょう。とはいえ、米国の新型コロナ感染者数は増加を続けていることから、米長期金利の上昇余地は限定的であり、ドル円の上値は重いとみられます。来週はFOMCの結果や引き続き米国の新型コロナ感染動向に注目です。
◆Jリート :一進一退の中、上値を探る
東証REIT指数は12月に入り、1,700ポイントを挟んだもみ合いが続いています。新型コロナの感染拡大は重しになったものの、ワクチン実用化への期待などが下支えした格好です。11月時点の東京都心のオフィス空室率は9か月連続で上昇しましたが、市場の反応は限定的でした。ECBが資産購入拡大などの追加緩和に踏み切ったことを受け、国内金利が上昇しにくくなる中、コロナの動向をにらみながら上値を探る動きが続きそうです。
■来週の注目点
日銀短観(12月調査) 12月14日(月)午前8時50分発表
9月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がマイナス27、大企業・非製造業がマイナス12となりました。経済活動の世界的な回復傾向を受け、6月調査比それぞれ7ポイント、5ポイント改善しました。
12月調査においても、大企業の業況判断DIは製造業、非製造業とも改善が見込まれます。ただ、国内外で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、経済の正常化には遠いことから、改善は小幅なものにとどまりそうです。また、景気の先行き不透明感が強い中、設備投資計画では、引き続き企業の慎重姿勢が確認される見込みです。
米小売売上高(11月) 12月16日(水)午後10時30分発表
10月の米小売売上高は前月比0.3%増となり、市場予想を下回り、半年ぶりの低い伸びにとどまりました。米追加経済対策をめぐる協議に大きな進展がみられない中、米国で新型コロナウイルスの感染が拡大を続けており、消費者が慎重姿勢を強めているとみられます。
米国の同ウイルス感染者の増加により、米国各地で行動制限が行われています。今後、個人消費はさらに減速する可能性が高そうです。11月は前月比0.2%減程度が見込まれます。
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