来週の金融市場見通し(2020年11月30日~2020年12月4日)
■来週の見通し
新型コロナウイルスの新規感染者数は、規制を再強化した欧州では11月中旬から減少する一方、米国では増加傾向が続いています。国内でも感染拡大が続く中、東京都は飲食店などに営業時間の短縮を要請しました。他方、トランプ米大統領がバイデン前副大統領への政権移行業務を容認する姿勢を示したことなどから、米政局、政策の不透明感が後退しています。引き続き、新型コロナの感染やワクチン開発の動向にらみですが、米国で本格化している年末商戦、週末の米雇用統計なども確認したいところです。
◆株価 :底堅い展開に
日本株は、底堅い展開が予想されます。日本や米国などで新型コロナの感染が拡大しているものの、そのワクチンに対する期待が、国内外の株価を支える見通しです。米大統領選をめぐる混乱が落ち着きつつあることも、株式市場の好材料となる見込みです。ただ、日経平均株価は11月に約16%上昇しており、利益確定売りに押される場面もありそうです。また、新型コロナの世界的な感染状況や為替の動きには、引き続き注意が必要です。
◆長期金利 :金利上昇は限定的
長期金利は狭いレンジでの動きが続きました。東京都が飲食店などに時短営業を再要請すると伝わったことや、40年国債入札が無難な結果になったことは長期金利の押し下げ材料も、国債の増発観測に加え、2年国債入札が弱めの結果となったことを受け、週末には0.025%程度まで上昇しました。来年度の超長期国債の増発が意識されていますが、日銀が上限を定めず国債買入れを続ける中、国内金利の上昇は限定的とみられます。
◆為替 :上値は重い
新型コロナのワクチンが高い有効性を示し、米政権移行が円滑に進む見通しとなったことから、リスク選好の流れが優勢となっています。ただ、ドル売りと円売りが拮抗しており、ドル円は動きづらい状況が続いています。とはいえ、足元、米国の感染者は急増し行動制限が継続していることから、短期的には悪材料が米長期金利の上昇を抑えています。来週もドル円は感染状況や米雇用統計などに注目しつつも上値の重い展開が続きそうです。
◆Jリート :一進一退
Jリート市場は、新型コロナのワクチン開発への期待や、各国政府、中央銀行による景気下支えへの期待は買い材料も、国内のコロナ感染状況が深刻化していることが重しとなり一進一退の動きが続いています。欧米の中央銀行が緩和姿勢を一段と強めるとみられ、内外の長期金利が低位で推移する中、Jリートの分配金利回りは4%超と魅力的な水準です。ただ、ワクチンの普及のめどが立つまでは、動きにくい状況が続く可能性が高そうです。
■来週の注目点
鉱工業生産指数(10月、速報値) 11月30日(月)午前8時50分発表
鉱工業生産指数は9月に前月比3.9%上昇し91.5(2015年=100)と、4か月連続の上昇となりました。業種別では、自動車工業、生産用機械工業などが上昇した一方、汎用・業務用機械工業などが低下しました。
自動車の世界的な需要回復傾向などを背景に、10月の鉱工業生産指数は、緩やかな上昇が見込まれます。ただ、最近の生産回復は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い今年春に生産が落ち込んだ後の反動という面が大きいとみられます。そうした反動増が一巡しつつあることから、当面、生産拡大は緩慢なものにとどまる見通しです。
米雇用統計(11月) 12月4日(金)午後10時30分発表
10月の米雇用統計において、非農業部門雇用者数は前月比63万8,000人増と市場予想を上回り、失業率は6.9%と市場予想以上に低下しました。失業率の低下は職探しを断念した人が増加したことも要因とみられます。
労働市場の回復は継続しているとみられるものの、米国の新型コロナウイルスの感染者数は記録的なペースで増加しており、人員採用の勢いは持続しない可能性が高そうです。11月の非農業部門雇用者数は前月比50万人増程度、失業率は6.8%程度となる見通しです。
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