来週の金融市場見通し(2020年11月23日~2020年11月27日)

■来週の見通し

米ファイザー・独ビオンテックに続き、米モデルナ、英アストラゼネカも新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で有効性が示されたと発表するなど、ワクチン開発が進んでいます。一方、米国では新型コロナの新規感染者数が過去最多水準で推移する中、カリフォルニア州が夜間外出禁止令の発動を発表するなど、感染を抑制するための規制強化が広がっています。国内でも、新規感染者数が過去最多まで増加しています。今後の感染については「神のみぞ知る」ですが、引き続きコロナにらみの展開が続きそうです。

◆株価 :方向感を欠く展開か

日本株は、方向感を欠く展開が予想されます。欧米や日本で新型コロナの感染が拡大しており、これに伴う活動制限への懸念が国内外の株価を圧迫する見通しです。為替が円高へ振れていることも、株価の重しとなりそうです。とはいえ、新型コロナのワクチンに対する期待が広がっていることから、相場が大きく崩れる可能性は低いとみられます。また、次期米政権の経済対策への期待や、世界的な金融緩和なども、株価を下支えする見通しです。

◆長期金利 :低位もみ合い

新型コロナのワクチンや治療薬への期待などを背景に、安全資産とされる国債が売られる場面があったものの、新型コロナの感染再拡大への警戒感も根強く、長期金利は狭いレンジでの動きが続きました。20年国債入札も順調な結果となり、需給はしっかりしています。欧州中央銀行(ECB)は12月の理事会で追加金融緩和を打ち出すことを約束するなど、内外の中央銀行は緩和姿勢を強めています。長期金利は低位での推移が続きそうです。

◆為替 :下値模索

中長期的には新型コロナに対するワクチン開発の進展で楽観的な見方がある一方、足元では米国中心に同ウイルスの感染再拡大が止まらず、目先の経済への影響が懸念される状況が続いています。そのためドル円の上値は限定的とみられます。また、米追加経済対策協議に大きな進展は見られず、景気後退に逆戻りする可能性も排除できないとの見方から、米長期金利が低下しています。ドル円も徐々に下値を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :押し目を拾う

Jリートはやや売りに押される展開になりました。日経平均株価が約29年ぶりに2万6,000円台を回復するなど、投資家のリスク選好が強まる中、上昇する場面はあったものの、国内で新型コロナの感染が再拡大していることが重しになりました。内外の中央銀行が緩和姿勢を強めていることは安心材料ですが、新型コロナの感染が拡大する中、積極的には買いにくい状況です。コロナの動向をにらみながら、押し目を拾うことになりそうです。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(11月) 11月27日(金)午前8時30分発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、10月に前年比0.5%下落となりました。「Go To トラベル」の影響で宿泊費が大きく下落したほか、消費税増税(昨年10月)の影響一巡も指数下落に寄与しました。

11月も同0.5%程度の下落が見込まれます。引き続き宿泊費の下落が物価指数を押し下げるとみられる上、原油安によるエネルギー関連価格の下落も続く見通しです。東京都区部の物価は全国の先行指数であることから、全国の消費者物価も当分、前年比マイナスで推移しそうです。

米個人消費支出(10月) 11月25日(水)24時00分発表

9月の米個人消費支出(PCE)は、前月比1.4%増と市場予想を上回る伸びとなりました。また、PCE総合価格指数は前年比1.4%となり、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標(2%)に届きませんでした。

労働市場が緩やかに回復を続ける中で、トランプ大統領が大統領令により講じた失業保険上乗せ給付が寄与した模様です。とはいえ、米追加経済対策をめぐる協議に大きな進展がない中、新型コロナの感染拡大は続いており、今後個人消費支出は鈍化する可能性が高そうです。また、インフレ率も中長期的に低迷する見通しです。

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