来週の金融市場見通し(2020年11月16日~2020年11月20日)
■来週の見通し
米製薬大手ファイザーなどが開発する新型コロナウイルスのワクチンが高い有効性を示したことを受け、経済の正常化が進むとの見方が強まる一方、米国の新規感染者数が過去最高を更新する中、全米でのロックダウン(都市閉鎖)の可能性も浮上し、ワクチン期待とロックダウン懸念の綱引きが続きそうです。追加経済対策をめぐる米与野党の対立も懸念材料です。来週は、日本の7-9月期の国内総生産(GDP)速報値や貿易統計、米中の小売売上高など内外の経済指標も確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :やや軟調な展開か
日本株は、やや軟調な展開が予想されます。新型コロナのワクチンへの期待で内外の株価は一時大幅に上昇したものの、ワクチンの承認や普及の時期は依然として不確実です。また、新型コロナについては感染拡大に伴い欧米で活動制限が強化されつつある上、日本での感染拡大も懸念されます。さらに、米国では大統領選後、トランプ現大統領が敗北を認めておらず、経済対策協議が困難になっていることも、株価を圧迫しそうです。
◆長期金利 :レンジ継続
米大統領選でバイデン氏が当選を確実にし、米政治の先行き不透明感が後退したことに加え、新型コロナのワクチン開発の進展を受け、安全資産とされる国債を売る動きが広がり、国内の長期金利は0.040%まで上昇しました。ただ、週末は国内外の新型コロナ感染拡大を受け、活動制限などへの警戒感が強まり、上げを縮小しました。しばらくは新型コロナの感染動向、活動制限の影響などをにらみながら、もみ合う展開になりそうです。
◆為替 :ドル円は底堅い
ドル円は、レンジ内ながらも底堅い展開が予想されます。新型コロナのワクチン開発に大きな進展があったことから、米長期金利が一時0.9%台後半まで上昇し、ドル円も堅調な動きとなっています。また、日米実質金利差は縮小しておりドル円を下支えしそうです。しかし、足元、米国で新型コロナ感染が急拡大していることから、行動制限がより厳格化され景気の先行きに懸念が広がると、ドル円が弱含むこともありそうです。
◆Jリート :1,700ポイントを挟んだレンジでの動き
米政治の先行き不透明感が後退したことや、新型コロナのワクチンへの期待から、投資家のリスク選好が強まり、堅調な動きになったものの、週後半は10月時点の東京都心のオフィス空室率が8か月連続で上昇したことや、内外での新型コロナの感染拡大を受け、上げ幅を縮小しました。新型コロナのワクチンが早期に実用化される見通しが強まると、買い安心感が広がることも想定されます。それまでは、レンジでの動きが継続しそうです。
■来週の注目点
貿易統計(10月) 11月18日(水)午前8時50分発表
日本の輸出は9月に前年比4.9%減となりました。米国向けの自動車輸出などが増加した一方、アジア向けの鉄鋼輸出などが減少しました。また、輸入は原粗油などが減少し、同17.4%減となりました。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6,878億円の黒字になりました。
10月の貿易収支も黒字が見込まれます。中国や米国の景気回復に伴い輸出は回復基調にある一方、原油安などを背景に、輸入は引き続き前年比減が見込まれます。そのため、当分の間、貿易収支の黒字基調が続く見通しです。
米小売売上高(10月) 11月17日(火)午後10時30分発表
9月の米小売売上高は前月比1.9%増となり、市場予想を上回りました。トランプ大統領が大統領令により一時的に講じた追加の失業保険上乗せ給付が寄与したものとみられます。特に衣料品や自動車の売り上げが好調でした。
しかし米国の新型コロナウイルスの感染者は急増しており、一部で行動制限が行われています。また、依然、米議会で追加経済対策がまとまらない中、今後個人消費は減速する可能性が高いとみられます。10月は前月比0.5%増程度が見込まれます。
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