来週の金融市場見通し(2020年11月9日~2020年11月13日)
■来週の見通し
米大統領選では、一旦トランプ氏優勢との見方が広がったものの、バイデン氏が巻き返し、やや優勢になっています。ただ、トランプ陣営は集計をめぐり裁判所へ訴えるなど、泥沼化の様相を呈してきており注意が必要です。米議会選挙では、上院は共和党、下院は民主党が制するねじれ議会になった場合には、バイデン氏が主張する法人税増税や規制強化の可能性が後退するとの見方から、市場はリスク選好に傾いています。来週は、経済指標や企業決算なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :利益確定売り優勢か
日本株は、利益確定売りに押される展開が予想されます。米大統領選・議会選を受け、内外の株価は急上昇しているものの、やや行き過ぎとみられます。現在、バイデン氏(民主党)が優勢ですが、トランプ氏が異議申し立てを行い法廷闘争が長引く事態も想定されます。また、上院は共和党が制する可能性が高いため、経済対策が停滞する恐れもあります。それらのリスクを踏まえると、株式市場では一旦、調整色が強まると見込まれます。
◆長期金利 :低位もみ合い
米国で上院・下院がねじれ議会になるとの見方から、大型の経済対策観測が後退しています。財政出動による米国債市場の需給悪化懸念が和らぎ、米長期金利が低下に転じたことに加え、財政政策による景気押し上げに期待できない分、米連邦準備制度理事会(FRB)が一段の金融緩和に動くとの見方から、内外の金利は上昇しにくくなっています。米大統領選の結果をめぐる混乱も懸念され、国内の長期金利は低位での推移が見込まれます。
◆為替 :下値模索の展開
大統領選は予想以上の接戦となったものの、バイデン候補の勝利の可能性が高まっています。また、米議会では上院は共和党、下院は民主党がそれぞれ過半数を占め、ねじれ状況は継続するとみられることから大規模な財政刺激策の観測が後退しています。そのため米長期金利は0.7%台半ばまで低下しており、ドル円は徐々に下値を模索する展開が見込まれます。また、米国で新型コロナの感染が急拡大しており、ドル売り要因となりそうです。
◆Jリート :戻りを探る
Jリート市場は、値ごろ感からの買いに加え、米大統領選という一大イベントをひとまず通過して投資家のリスク選好姿勢が強まったこと、また長期金利が低下したことを受け持ち直しました。ただ、米大統領選はまだ決着がついておらず、不透明感は残ります。他方、新型コロナウイルスの感染拡大も懸念材料ながら、欧米の中央銀行が一段の追加緩和に前向きな姿勢を示していることは、Jリート市場を下支えしそうです。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(10月) 11月10日(火)午後2時発表
景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、9月に前月差5.4ポイント上昇の49.3となりました。5月に緊急事態宣言が解除されたことを背景に、5か月連続で前月比上昇となりました。
10月の現状判断DIも上昇し、節目の50を若干上回るものと予想されます。国内の経済活動が徐々に正常化へ向かいつつある上、輸出も持ち直しの動きがみられることから、家計動向関連、企業動向関連ともDIの改善が見込まれます。とはいえ、世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることから、先行きについては、やや慎重な見方が示されそうです。
米消費者物価指数(10月) 11月12日(木)午後10時30分発表
9月の米国の消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比1.4%上昇となり、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは同1.7%上昇と、緩やかながら物価は上昇していることが示されました。
しかし、中古車価格は上昇しているものの、航空運賃や衣料品、食料品は低下するなど、全体的に物価上昇圧力は弱まっています。また、新型コロナウイルスの感染者数は依然増加しており、行動制限などが行われていることから、今後さらに価格上昇ペースは緩やかになる見通しです。10月は総合で前年比1.3%程度の上昇、コアは同1.7%程度の上昇が見込まれます。
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