来週の金融市場見通し(2020年10月26日~2020年10月30日)

■来週の見通し

米大統領選や米追加経済対策をめぐる思わくに振らされる展開が続いています。市場では民主党のバイデン氏勝利、議会も上下両院を民主党が制する「トリプルブルー」を見込む動きが強まっていますが、まだ予断を許さない状況です。他方、欧米での新型コロナウイルス感染の再拡大も気になるところです。来週は、グーグルなど「GAFA」と呼ばれる米IT大手4社の決算発表が予定されています。米大統領選や米追加経済対策にらみですが、内外の経済指標に加え、日米の企業決算も確認したいところです。

◆株価 :やや軟調な展開か

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。足元、日経平均株価は底堅く推移しているものの、米大統領選をめぐる不透明感などが警戒され、利益確定売りが一旦優勢になると見込まれます。欧米などにおける新型コロナの感染拡大も、株価の重しとなりそうです。ただ、世界景気は依然回復傾向とみられることや、日米金融緩和の長期化観測などを踏まえると、日経平均株価が2万3千円を割り込む可能性は低いとみられます。

◆長期金利 :上昇は限定的

欧米での新型コロナ感染の再拡大を受け、安全資産とされる国債に買い(価格上昇、利回り低下)も入ったものの、米追加経済対策への期待や、米大統領選でバイデン氏が勝利し、大規模な財政出動に動くとの見方から、米10年債利回りは0.8%乗せ、国内の長期金利は0.035%前後まで上昇しました。来週の日銀金融政策決定会合は現状維持で大規模な金融緩和が継続する見込みです。米金利上昇でも国内金利への影響は限定的とみられます。

◆為替 : 徐々に下値模索か

米大統領選を間近に控え、接戦州を含みバイデン候補のリードが続いている中、米長期金利の上昇にも関わらず、ドル円は米財政赤字の拡大がドル安要因と意識されはじめたことで、一時104円台前半まで下落しました。米大統領選前の追加経済対策法案成立の可能性がより乏しくなってくれば、リスク回避のドル買いが円買いを勝り、ドル円が上昇する可能性があるものの、当面、ドルの上値は重く、徐々に下値を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :動きにくい

東証REIT指数は、一進一退の中、僅かに下落しました。値ごろ感からの買いに加え、公明党がGo Toトラベルを来年5月の大型連休まで延長することなどを求める提言をまとめ、近く申し入れると伝わったことは下支え材料も、米大統領選への警戒などから積極的な買いが入らず。超低金利が長期化する中、Jリートの予想分配金利回りは4.2%台と依然として高い水準です。ただ、米大統領選を通過するまでは動きにくい相場が続きそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(9月) 10月23日(金)午前8時30分発表 

鉱工業生産指数は8月に前月比1.0%上昇し、88.1(2015年=100)となりました。3か月連続の上昇となったものの、伸びは鈍化しました(7月は同8.7%上昇)。業種別では、自動車工業などが上昇し、生産用機械工業などが低下しました。

国内外における経済活動の再開継続を背景に、9月の鉱工業生産指数も小幅な上昇が見込まれます。ただ、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大しているため、生産回復は当面、緩やかなものにとどまりそうです。

米個人消費支出(9月) 10月30日(金)午後9時30分発表

8月の米個人消費支出(PCE)は、前月比1.0%増と伸びが前月より減速しました。また、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ目標の基準としているPCE総合価格指数は前年比1.4%となり、目標を下回りました。

週600ドルの失業保険上乗せ給付が7月末に失効し、個人消費支出は伸びが減速しています。また、米追加経済対策法案をめぐる協議は継続中であり、その成立が遅れれば、今後個人消費支出はさらに鈍化する可能性があります。また、インフレ率も中長期的に低迷しそうです。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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