来週の金融市場見通し(2020年10月19日~2020年10月23日)

■来週の見通し

新型コロナウイルスの感染が急拡大している欧州では、フランスや英国で夜間の外出制限や会合禁止などの規制強化が打ち出されました。米国でも大多数の州で再び感染が拡大しています。他方、米大統領選まで3週間を切る中、米追加経済対策については与野党協議が停滞しており、早期の合意は厳しい情勢です。来週は、内外の経済指標、米企業決算発表に加え、米大統領候補による最後のテレビ討論会なども確認したいところです。米大統領選に向けて徐々に様子見姿勢が広がりそうです。

◆株価 :方向感を欠く展開に

日本株は、明確な方向感を欠く展開が予想されます。欧州で新型コロナの感染が急拡大しているほか、日本でもさらなる感染拡大への警戒感が強まりそうです。11月の米大統領選をめぐる不確実性も踏まえれば、当面、積極的にリスクを取りにくい環境が続く見通しです。ただ、10月19日に中国で発表される一連の統計で堅調な景気拡大が確認された場合、世界景気への悲観が和らぎ、日本株が一時上昇する場面もありそうです。

◆長期金利 :低位もみ合い継続

長期金利は0.025%程度でほぼ横ばいの動きが続きました。新型コロナのワクチンや治療薬の開発をめぐる不透明感や、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測は金利の低下材料も、米追加経済対策を受けた国債増発で米長期金利が上昇するとの警戒感が国内の金利低下を抑え、上にも下にも動けず。引き続き、株式市場や米長期金利などの動きをにらみながら、もみ合う展開になりそうです。20年国債入札も確認したいところです。

◆為替 : 方向感を探る

米大統領選を控え、ドル円相場は105円から106円のレンジを中心に膠着感が強まっています。米10年国債利回りは0.7%台前半で推移しており、日米実質金利差のマイナス域での拡大はいったん止まった可能性があるものの、強いドル買い要因にはなっていません。ドル円は来週も大統領選に向けた世論調査やトランプ大統領の動向、難航している米追加経済対策協議などをにらみながら方向感を探る展開となりそうです。

◆Jリート :押し目を探る

Jリート市場は総じて売りに押される展開が続きました。物件取得のために過去最大規模の増資を発表した日本ビルファンドが軟調な動きになったことに加え、米経済対策の遅れや欧州の新型コロナの急拡大を受け、投資家のリスク回避姿勢が強まったことが、東証REIT指数を押し下げた模様です。もっとも、下値では4%を超える予想分配金利回りに着目した買いなどが下支えするとみられます。来週は押し目を探ることになりそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(9月) 10月23日(金)午前8時30分発表 

日本の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は8月に前年比0.4%低下と、3か月ぶりのマイナスになりました。「Go To トラベル」の開始に伴い宿泊料が同32.0%下落したことが、指数低下の主要因です。

9月のコアCPIも、8月と同程度のマイナスが見込まれます。引き続き「Go To トラベル」による影響のほか、原油安などがCPIを押し下げる見込みです。今後、携帯電話料金の値下げが実現すれば、CPIはさらに低下する見通しです。ただ、これらは一時的な要因と判断されることから、CPIの低下を受けて日銀が追加的な金融緩和策を打ち出す可能性は、当面低いとみられます。

ユーロ圏製造業PMI(10月)  10月23日(金)午後5時発表

9月のマークイットユーロ圏総合PMIは、50.4と前月から低下、一方、製造業PMIは53.7と前月よりやや上昇しました。いずれも活動の拡大縮小の境目となる50を超えているものの、サービス業が落ち込んでおり、全体的に拡大ペースは緩やかです。

新型コロナウイルス感染は欧州主要国において再拡大しており、一部地域では再度行動制限が行われています。経済活動の停滞や弱い外需には引き続き警戒が必要であり、同指数は当面50近辺を推移するとみられ、回復ペースは非常に緩やかなものとなりそうです。

 

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