来週の金融市場見通し(2020年10月5日~2020年10月9日)

■来週の見通し

米大統領候補テレビ討論会(日本時間の30日午前)ではバイデン氏が優勢との見方から、国内株は大きく下落しましたが、米国株の反応は限定的でした。また米国では、追加経済対策をめぐってムニューシン米財務長官と民主党のペロシ下院議長が協議を続けていますが、まだ隔たりがあります。来週も、内外の経済指標に加え、米追加経済対策をめぐる協議が注目されます。他方、トランプ米大統領の新型コロナウイルス陽性が判明したことで、米大統領選等をめぐる不透明感が一段と強まることには注意が必要です。

◆株価 :方向感を欠く

日本株は、方向感を欠く動きが予想されます。現在、米ハイテク株の調整が一巡しつつあるとみられることなどは、日本株を下支えしそうです。一方、国内経済は最悪期を過ぎたとはいえ、新型コロナへの警戒感は根強く、景気回復ペースは当面緩慢とみられます。また、トランプ米大統領の新型コロナ感染を受け、11月の大統領選をめぐる情勢は、一層混沌としたものになりそうです。そのため、日本株は上値を追いにくい展開が見込まれます。

◆長期金利 :低位もみ合い

長期金利は一進一退の動きが続きました。1日に実施された2020年度下期に入って最初の10年国債入札は順調な結果となり、期初の強い需要が確認されました。トランプ米大統領が新型コロナに感染したことで、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まると、長期金利が押し下げられる可能性があります。来週は、5年国債入札、30年国債入札に加え、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨なども確認したいところです。

◆為替 : ドル円は徐々に下落基調へ

米国で共和・民主両党の追加経済対策をめぐる協議は難航しており、その成立は大統領選後まで期待できない可能性もありそうです。また、トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染を受け、状況は混沌としており、ドル売り優勢となっています。来週予定されている米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言はよりハト派的になる可能性が高く、若干の米長期金利低下に伴ってドル円は下値を模索する展開になるとみられます。

◆Jリート :やや不安定な動き

東証REIT指数は、1,750ポイント前後に上昇すると、利益確定売りに押される展開が続いています。1日からGo Toトラベルに東京が加わったことは安心材料です。Jリートの予想分配金利回りは4%を若干上回っており、この利回りの高さに着目した買いも下支え材料です。一方、トランプ米大統領が新型コロナ陽性と伝わり、積極的には買い進めにくい状況です。底堅いながらも、投資家のリスク回避姿勢が強まることには注意が必要です。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(9月) 10月8日(木)午後2時発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、8月に前月差2.8ポイント上昇の43.9となりました。企業動向関連、雇用関連のDIが上昇したほか、家計動向関連のDIも飲食関連を除き上昇しました。

9月の現状判断DIも、小幅な上昇が予想されます。新型コロナウイルスの感染拡大は続いているものの、外出自粛ムードはやや弱まっています。また、在宅勤務の広がりなどに関連する機械器具の需要増などが、製造業の景況感を支えています。ただ、感染拡大懸念が残る中、DIは引き続き50を下回る水準で推移する見込みです。

ISM非製造業景況指数(9月) 10月5日(月)午後11時発表

米供給管理協会(ISM)が発表した8月の非製造業景況指数は、ほぼ市場予想通りの56.9となったものの、前月からは低下し、活動拡大ペースが減速していることを示しました。内訳としては、雇用指数は上昇しており、労働市場の若干の改善を示唆した一方、新規受注の伸びは鈍化しています。

新型コロナウイルスの新規感染者数は高止まりしており、再度の行動制限の可能性が残ること、また、米政府の追加経済対策協議が難航していることなどから、今後も回復ペースの減速が懸念されます。9月の同指数は56.1を想定しています。

 

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