来週の金融市場見通し(2020年9月28日~2020年10月2日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長らが、景気の先行きに慎重な見方を示すとともに、追加の経済対策の必要性を強調しました。追加経済対策については、民主党のペロシ下院議長が協議再開の意向を示したと報じられましたが、規模などについて共和・民主両党間の隔たりは大きく、早期の合意、成立は予断を許さない状況です。他方、欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることは懸念材料です。日銀短観に加え、米国の大統領候補テレビ討論会、米雇用統計なども確認したいところです。

◆株価 :方向感の乏しい展開に

日本株は、方向感の乏しい展開が予想されます。欧州などで新型コロナの感染が再拡大しており、それを受けた経済活動の部分的な制限が、世界景気の回復を抑制しそうです。日本では日銀短観などで足元の景況感改善が示される見込みですが、先行き不安は根強く残りそうです。とはいえ、主要国において経済活動の全面的な制限は回避される見込みであることや、米国の追加経済対策への期待などが、日本株などを下支えする見通しです。

◆長期金利 :低位もみ合い

欧州での新型コロナ感染再拡大を受け、世界経済の先行き不透明感が広がり、安全資産とされる債券は買いが優勢になり、長期金利は0.005%まで低下しました。もっとも一段の低下には材料不足で、0.01%に戻る動きになりました。24日の40年国債入札は無難な結果だったものの、旺盛な需要は確認されませんでした。日銀が大規模な金融緩和を継続するとみられる中、株価や10年国債入札などを確認しながら、もみ合う展開が続きそうです。

◆為替 : しばらくは神経質な動きか

調整が続いている米株価を背景に、ややリスク回避の傾向が優勢です。逃避通貨であるドルと円を買い戻す動きが見られ、ドル円は狭いレンジで方向感を見出せません。とはいえ、日米実質金利差(米-日)は、マイナス域で緩やかに広がりつつあり、基本的にドル円は緩やかながら下落基調での推移を想定しています。しばらくは米追加経済対策協議の行方や新型コロナ感染状況などをにらみながら神経質な動きとなりそうです。

◆Jリート :底堅い動きの中、上値を探る

Jリート市場は、連休明けは続落して始まったものの、値ごろ感からの買いに加え、長期金利の低下を受け、相対的に高い分配金利回りに着目した買いから、堅調な動きになりました。東京都が、来月1日から東京が追加される見通しとなっている「Go To トラベル」に上乗せする形で、都民による都内への旅行代金を補助する事業を始めると発表したことは安心材料になりそうです。引き続き底堅い動きの中、上値を探る展開が見込まれます。

来週の注目点

日銀短観(9月調査) 10月1日(木)午前8時50分発表 

6月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がマイナス34(3月調査比26ポイント低下)と、新型コロナウイルス流行に伴う世界景気の悪化などを受け、極端な落ち込みを示しました。また、外出自粛などにより、同・非製造業のDIもマイナス17(同25ポイント低下)と、大幅に悪化しました。

9月調査では、経済活動の再開を背景に大企業のDIは製造業、非製造業とも改善が予想されます。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大は続いており、経済活動の正常化には遠いことから、DIのマイナスは続く見通しです。

米雇用統計(9月) 10月2日(金)午後9時30分発表

8月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比137万1,000人増と市場予想を上回る増加となり、労働市場の回復が継続していることを示しました。また、失業率も8.4%と市場予想を上回る低下となりました。

小売り、運輸などを中心に再雇用が継続しているものの、新型コロナウイルスの感染拡大は収束しておらず、飲食・観光など、サービス業分野では増加ペースが鈍化しています。9月の非農業部門就業者数は前月比86万人増程度、失業率は8.2%程度への低下を想定しています。

 

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