来週の金融市場見通し(2020年9月21日~2020年9月25日)

■来週の見通し

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、「インフレ率が当面の間2%を適度に超えるような軌道に乗るまで、政策金利を維持する」との方針とともに、2023年末までゼロ金利政策が維持されるとの見通しが示されました。他方、日銀も大規模な金融緩和策の維持を決めるとともに、黒田日銀総裁が任期を全うすることを明言しました。日米で金融緩和の継続が確認された格好です。来週は内外の経済指標やワクチン開発の進展などを確認しながら、29日の第1回目の米大統領候補によるテレビ討論会を待つことになります。

◆株価 :やや軟調な展開か

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。ハイテク株を中心とした米国株の調整やドル安・円高が日本株の重石となりそうです。また、引き続き新型コロナウイルスの流行が世界景気を圧迫するとみられる中、ワクチンの早期実用化については、依然不透明感があります。とはいえ、日米などの金融緩和策が長期化する見通しであることや、中国の景気回復基調が強まっていることなどを踏まえれば、日本株の下落余地は限られそうです。

◆長期金利 :一段の低下は限定的

長期金利は動きが乏しく、0.015%での横ばいが続いていましたが、FOMCや日銀金融政策決定会合を受け、0.01%まで低下しました。FOMCではゼロ金利政策が少なくとも2023年末まで継続する見通しが示され、また日銀についても政権交代でも現行の金融緩和を継続すると見込まれることから、日米の長期金利は上昇しにくい状況がしばらく続きそうです。ただ、追加の金融緩和観測は後退しており、金利低下も限定的とみられます。

◆為替 : 下値模索

米連邦準備制度理事会(FRB)はゼロ金利政策の長期化を示唆する一方、期間インフレ率目標を設定し、米国のインフレ期待はやや高まっています。それを受け、日米実質金利差(米-日)は、マイナス域で緩やかに広がりつつあり、ドル円は引き続きドル安円高基調での推移を想定しています。また、高値圏で不安定な動きとなっている米株価が落ち着いてくれば、ドルを手放す動きも加わり、ドル円は徐々に下値を模索するとみられます。

◆Jリート :上値を探る

Jリート市場は、2020年7月期決算が市場予想を上回った東急リアル・エステートなどに買いが入ったことに加え、海外から不動産市場へ資金が流入するとの期待などから、堅調な地合いが続いていましたが、週末には売りが強まりました。Go To トラベルに東京が追加されることへの期待に加え、値ごろ感からの買いや、超低金利環境が長期化する中、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、上値を探る動きになりそうです。

来週の注目点

全国百貨店売上高(8月) 9月24日(木)午後2時30分発表 

7月の全国百貨店売上高は、前年比20.3%減(店舗数調整後)と、同19.1%減だった6月からマイナス幅が拡大し、10か月連続でマイナスになりました。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う外出自粛ムードのほか、長梅雨などの天候不順も影響しました。

8月の売上高についても、前年比で大幅減が見込まれます。新型コロナウイルスへの警戒感に加え、記録的な猛暑も外出を抑制した模様です。訪日客による消費の前年比急減が当面継続するとみられることも踏まえれば、百貨店売上高は、少なくとも年内は低迷が続く見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(9月)  9月23日(水)午後5時発表

8月のマークイットユーロ圏総合PMIは、51.9と前月から大きく低下、また、注目の製造業PMIも同様に51.7と前月より低下しました。いずれも活動の拡大縮小の境目となる50を超えているものの、7月までの景況感急回復にブレーキがかかった形です。

ユーロ圏では新型コロナウイルス感染拡大の早期封じ込めは期待しがたく、経済活動の停滞や弱い外需には引き続き警戒が必要です。ただ、センチメントに大きな陰りはないと思われることから、しばらくは50近辺を推移しながら、徐々に回復していくものと見込まれます。

 

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