来週の金融市場見通し(2020年9月14日~2020年9月18日)

■来週の見通し

14日の自民党総裁選挙では菅官房長官が優位な情勢です。現行の金融政策、財政政策などが維持されるとともに、構造改革などへの期待が広がると、安心感が一段と広がる可能性があります。新内閣発足後の解散・総選挙の有無も気になるところです。他方、米国では上院が共和党の提案した追加景気対策案を否決したことを受け、11月の大統領選前の成立は困難との見方が出てきたことは懸念材料です。内外の経済指標に加え、日銀金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)も確認したいところです。

◆株価 :方向感を欠く展開に

日本株は、明確な方向感を欠く展開が予想されます。足元、ハイテク株を中心に米国株が軟調となっており、投資家の姿勢がやや慎重化しています。米国で追加景気対策をめぐる協議が依然難航していることも、米国株や日本株の上値を抑える見通しです。一方、為替が比較的安定していることは、日本株を下支えしそうです。また、菅内閣の誕生はほぼ織り込み済みとはいえ、実現した場合、現行政策の継続期待から、一旦好感されそうです。

◆長期金利 :低位もみ合い

長期金利は、週初は8月の米雇用統計の改善を受けて一時0.045%まで上昇したものの、20年国債入札が順調な結果になったことなどから、じりじりと低下する動きになりました。来週の日銀金融政策決定会合は現状維持の見込みです。他方、米FOMCでゼロ金利政策の長期化が改めて確認されると、国内の長期金利は上昇しにくくなりそうです。政権交代でも現行の大規模な金融緩和が継続するとの見方も、長期金利の上昇を抑制しそうです。

◆為替 : レンジ継続で方向感乏しい

米国株は高値圏で不安定な動きが続いているものの、好調な米景気指標や米国債の需給要因等から米長期金利は低下余地乏しく、0.7%近辺で推移しています。また、菅官房長官の自民党総裁就任が濃厚であり、円高リスクは限定的です。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は低金利が今後何年も必要となるとしており、米長期金利の大幅上昇も考えにくく、ドル円は引き続き106円を中心に狭いレンジ内での推移が見込まれます。

◆Jリート :押し目を探る

東証REIT指数は、週初は利益確定売りから続落したものの、相対的に高い分配金利回りに着目した買いも入り、以降は一進一退の動きが継続しました。8月時点の東京都心のオフィス空室率は6か月連続で上昇、平均賃料は80か月ぶりに下落しました。もっとも、新築ビルの賃料は上昇しました。また、前年比では上昇が継続しています。やや上値は重そうですが、Go Toトラベルに東京が追加されると、安心感が広がる可能性があります。

来週の注目点

貿易統計(8月) 9月16日(水)午前8時50分発表 

日本の輸出は7月に前年比19.2%減と、20か月連続の減少になりました。特に自動車輸出が大きく減少しました。また、輸入は同22.3%減と、15か月連続の減少になりました。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は109億円と、4か月ぶりの黒字になりました。

8月についても、輸出・輸入ともに減少が続く見通しです。ただ、海外景気の回復基調に伴い、輸出の減少幅が縮小すると見込まれる一方、原油価格の低迷などを背景に、輸入は大幅な減少が続きそうです。これらの結果、貿易収支は7月に続き黒字となる見通しです。

米小売売上高(8月) 9月16日(水)午後9時30分発表

7月の米小売売上高は前月比1.2%増と3か月連続プラスとなったものの、前月から大きく伸びが鈍化し、市場予想も下回りました。新型コロナウイルス感染者の再度の増加を背景に回復ペースは鈍化しています。

7月は前月に続き、ステイホーム関連の電子機器や家電が伸びたものの、週600ドルの失業保険の上乗せ給付が7月末に失効しており、また、追加経済対策協議が難航していることから、しばらく消費活動は低迷が続きそうです。8月は前月比1.3%増程度を想定しています。

 

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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