来週の金融市場見通し(2020年9月7日~2020年9月11日)

■来週の見通し

自民党総裁選は8日に公示され、14日に投開票されます。現政権の中枢を担う菅官房長官が優位と伝わり、市場では経済政策が維持されるとの期待が広がっています。他方、本格化している米大統領選では、バイデン氏の支持率がトランプ大統領を上回った状況が継続しています。経済政策ではトランプ氏との見方がありますが、米大統領選の市場への影響はまだ限定的です。来週は、景気ウォッチャー調査や、欧州中央銀行(ECB)理事会、米国の消費者物価指数なども確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が予想されます。米国株が高値警戒感からやや不安定な動きとなっており、それにつられ、日本株もハイテク関連株などを中心に下落する場面がありそうです。ただ、日米ともに緩やかな景気回復基調が続くとみられるほか、やや円安へ振れていることなども踏まえると、一方的な株安は想定しにくい状況です。次期首相のもとで現行の経済政策が続くとの見方が強まっていることも、日本株を支える見通しです。

◆長期金利 :低位もみ合い

自民党総裁選で菅官房長官が優位と伝わり、現行の金融政策が維持されるとの見方から、長期金利はじりじりと低下する動きになりました。米国で低金利政策が長期化するとの見方が広がっていることも、国内の長期金利の押し下げ材料です。もっとも、10年国債入札は低調な結果となり、需給面ではやや不安が残ります。経済指標に加え、5年国債入札、20年国債入札などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 : レンジ継続で神経質な動き

ECBによるユーロ高警戒発言を受け、総じてドル買いが優勢の中、米国株が大幅に調整したことで、逃避需要からドルは堅調です。リスク回避の円買いも出ており、対他通貨で円は上昇している一方、ドル円は動きづらい状況です。菅官房長官が次期自民党総裁との見方が強く、安倍政権の経済政策が継続されるとの安心感は円安要因ですが、来週も日米株価動向などを見ながらレンジ内での神経質な展開を想定しています。

◆Jリート :引き続き上値を探る

28日に合併を発表した日本リテールファンドとMCUBS MidCityが大幅高となり、東証REIT指数は週初には一時1,762ポイントまで上昇したものの、利益確定売りも広がり、1,700ポイント台前半を中心とした一進一退の動きが続きました。引き続き、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどがJリート市場を下支えするとみられ、底堅い推移が見込まれます。Go To トラベルで東京が追加されるかも確認したいところです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(8月) 9月8日(火)午後2時発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、7月に前月差2.3ポイント上昇の41.1となりました。家計動向関連DIは前月から変わらなかったものの、企業動向関連DIと雇用関連DIが上昇しました。

8月の現状判断DIは、低下が予想されます。5月に緊急事態宣言が解除されたことに伴い、5月、6月のDIは大幅に上昇しましたが、7月は小幅な上昇にとどまりました。8月は、新型コロナウイルスのほか猛暑の影響もあり、外出を控える動きが広がったため、家計動向関連DIを中心に精彩を欠く調査結果が示されそうです。

米消費者物価指数(8月) 9月11日(金)午後9時30分発表

7月の米国の消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比1.0%上昇と予想以上に伸びが加速し、また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも同1.6%上昇と、4か月ぶりの大幅な伸びとなりました。

新型コロナウイルスの感染拡大は、依然、収束にはほど遠いものの、ガソリンや被服費、自動車価格の上昇が顕著であり、インフレ率は底打ちした可能性が高いと考えています。ただ、全般的にはしばらく物価の動きは抑制された状態が継続すると思われ、8月は総合で前年比1.2%程度の上昇、コアは同1.6%程度の上昇を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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