来週の金融市場見通し(2020年7月13日~2020年7月17日)

■来週の見通し

米国では新型コロナウイルスの感染拡大が続き、経済活動再開の遅れへの懸念やロックダウン(都市封鎖)再導入への警戒がくすぶります。国内でも東京都などで感染拡大の収まる兆しがみえないことに加え、豪雨被害が相次いでいることは懸念材料です。他方、来週の日銀金融政策決定会合、欧州中央銀行(ECB)理事会は現状維持となりそうです。また、米国では企業の決算発表が本格化します。大幅な減益が見込まれますが、V字回復への期待が維持されるかが注目されます。米中の対立悪化にも注意が必要です。

◆株価 :やや軟調な展開に

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。現在、日米などで新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、経済活動の再開で世界景気は回復、とのシナリオを再考すべき状況となっています。為替が円高へ振れていることも、日本株を圧迫する見通しです。とはいえ、日本政府は緊急事態宣言を直ちには再発出しない方針を維持しており、景気回復期待は根強く残りそうです。そうした中、株式市場では、様子見姿勢が強まる見通しです。

◆長期金利 :低位もみ合い

7月からの国債増発を受け、需給悪化が懸念されたものの、30年国債入札が無難な結果、また5年国債入札も順調な結果となり、債券市場は買いが優勢(価格上昇、利回り低下)になりました。来週の日銀金融政策決定会合は現状維持の見込みで、市場への影響は限定的とみられます。需給悪化懸念は金利の押し上げ材料ですが、新型コロナウイルス感染拡大への警戒もくすぶることから、長期金利は低位でもみ合う展開が続きそうです。

◆為替 : 上値は重いものの方向感乏しい

ドル円は中長期的には緩やかな下落を想定しているものの、足元は引き続き方向感を見出せない状況です。米国では段階的に経済活動を再開するも、新型コロナウイルスの新規感染者数は過去最高ペースを更新しており、再度の経済活動制限の可能性も高まっています。上値限定の中、景気回復期待と同ウイルスの感染再拡大への警戒感がせめぎ合い、来週も107円を中心に、レンジ内での方向感の乏しい展開が続きそうです。

◆Jリート :神経質ながら底堅い

Jリート市場はもみ合いの中、売りがやや優勢になりました。富士通がオフィススペースを半減させると発表したことを受け、同様の動きが広がることへの警戒が重しになりました。6月時点の東京都心のオフィス空室率は4か月連続で上昇しましたが、1.97%とまだ低水準です。コロナ禍の影響は懸念材料ながら、空室率が需給均衡の目安とされる5%を大きく下回っていることは安心材料です。神経質ながら底堅い動きが見込まれます。

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 7月15日(水)に結果発表 

今回の会合では、金融政策の現状維持が予想されます。6月調査の日銀短観では景況感の大幅な悪化が示されたものの、経済活動の再開に伴い、今後は景気の緩やかな回復が見込まれます。為替など金融市場も比較的安定しているため、日銀は当面、様子見姿勢を維持するとみられます。

また、会合後に発表される「経済・物価情勢の展望」では、新型コロナウイルスの感染動向や、それによる影響に関し不透明感を強調しつつも、経済は今後改善し、物価も徐々に上昇する、との見通しが示されそうです。

米消費者物価指数(6月) 7月14日(火)午後9時30分発表

5月の米国の消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比0.1%上昇となり、3か月連続の低下となりました。また、食品とエネルギーを除くコアCPIも同1.2%上昇と2011年以降で最も低い伸びとなりました。

引き続き新型コロナウイルスの感染拡大が物価に大きな影響を及ぼしています。米国各地で段階的に経済活動が再開されているものの、衣料品やガソリン、航空運賃等は6月も低迷しており、感染再拡大が懸念される中、個人消費は低迷が続きそうです。6月は総合で前年比0.6%の上昇、コアは同1.1%の上昇を想定しています。

 

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