来週の金融市場見通し(2020年6月22日~2020年6月26日)

■来週の見通し

5月の米小売売上高が前月比で過去最大の伸びとなり、経済活動再開に伴う個人消費の回復期待が強まったことや、米政権が新たに1兆ドル規模のインフラ整備計画を検討していると伝えられたことなどから、投資家心理が改善しています。もっとも、カリフォルニア州が1日の新型コロナウイルス感染者数が過去最多を記録するなど、感染第2波への懸念は重しです。新型コロナの感染動向に加え、国際通貨基金(IMF)が7月予定を前倒しして24日に公表する世界経済見通しも確認したいところです。

◆株価 :方向感を欠く展開か

日本株は、方向感を欠く展開が予想されます。世界景気の回復期待や各国の金融緩和策が株価をサポートする一方、新型コロナウイルスの感染第2波への警戒感が上値を抑える見通しです。そのため、株価の一方的な下落・上昇はいずれも考えにくいものの、このところ米国株などの変動性が高まっていることには注意が必要です。引き続き、内外の景気・経済政策、および感染をめぐる情報に対し、神経質に反応する相場となりそうです。

◆長期金利 :ゼロ%付近でのもみ合い継続

長期金利は、週初には株価急落を受けゼロ%に低下したものの、米小売売上高の急増などから米金利が上昇したことを受け、0.015%前後まで上昇しました。その後は、新型コロナ感染の再拡大への警戒もあり、やや押し戻される動きに。黒田日銀総裁は、金利を引き上げる状況からは遠い気がすると、低金利の長期化を示唆しました。新型コロナの感染動向や経済再開後の景気動向などを確認しながらの、低位でのもみ合いが続きそうです。

◆為替 : ドル円は徐々に下値模索

主要国が段階的に経済活動を再開しており、世界景気の回復期待が根強いものの、各国とも感染第2波への警戒感は強く、急ピッチで上昇してきた株価は世界的に調整する動きも見られます。ドル円は方向感を見出しにくい状況ですが、ドル資金供給は潤沢であり、また、米連邦準備制度理事会(FRB)が2022年末まで政策金利をゼロ%付近で維持するとの見通しであることから米長期金利は低下基調です。ドル円は徐々に下値模索の展開か。

◆Jリート :不安定ながらも底堅い動きが継続

週初は、新型コロナウイルスの感染再拡大への警戒感が広がり、株式市場とともにJリート市場は急落しました。その後は、株価が持ち直す中、Jリート市場も買いが優勢になり、下げを埋める展開になりました。週末は利益確定売りに押される動きに。新型コロナウイルス感染第2波への警戒は重しながら、内外で低金利環境が長期化する中、Jリートの相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、引き続き底堅い推移が見込まれます。

来週の注目点

全国百貨店売上高(5月) 6月23日(火)午後2時30分発表 

4月の全国百貨店売上高は前年比72.8%減と、統計開始(1965年1月)以来、最大の減少率となりました。緊急事態宣言が4月7日に7都府県を対象に発出され、16日には全国に拡大されたことから、これに伴う休業や外出自粛による影響が鮮明に示されました。

5月の百貨店売上高も、4月と同程度の減少が見込まれます。ただ、緊急事態宣言は5月14日に39県で解除され、25日には全国で解除されたため、月後半以降は売上回復の兆しがみられます。とはいえ、訪日外国人の極端な減少などにより、百貨店の苦戦は長期化しそうです。

米個人消費支出(5月) 6月26日(金)午後9時30分発表

4月の米個人消費支出(PCE)は、前月比13.6%減と過去最大の落ち込みとなり、予想を大きく下回りました。また、PCE価格指数は総合で前年比0.5%上昇と前月の同1.3%上昇から急低下しました。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う広範な経済活動の停止や高い失業率を背景に、個人消費支出は急減速しています。米国では段階的な経済活動の再開が進みつつあることから5月の個人消費支出は前月比でのプラス転換が想定されるものの、公式のインフレ指標とされる総合PCE価格指数は長期的な低迷が予想されます。

 

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