来週の金融市場見通し(2020年6月15日~2020年6月19日)
■来週の見通し
米連邦準備制度理事会(FRB)は9、10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、ゼロ金利政策の維持と米国債などを買い入れる量的緩和政策の継続を決めました。また、政策金利見通しでは、2022年まではゼロ金利政策が続くとの見方が示されました。当面、緩和政策が続くことは安心材料です。とはいえ、米国では経済活動の再開を早く進めたテキサス州などで新型コロナウイルスの感染者が増えています。新型コロナの感染動向や、米小売売上高などの経済指標を確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :やや軟調な動きを予想
日本株は、やや軟調な動きが予想されます。主要国における経済活動の段階的再開を受け、日経平均株価は一時2万3千円台に乗せたものの、その後は過熱感から利益確定売りに押される展開となっています。円高が進行したことや、米国で新型コロナウイルスの感染第2波の兆しが示されていることも、日本株を圧迫しそうです。ただ、世界景気の最悪期は過ぎた可能性が高いことから、極端な株価下落は避けられる見通しです。
◆長期金利 :ゼロ%付近で一進一退
FRBがゼロ金利政策の維持を決め、長期にわたって緩和的な金融政策を続ける見通しを示したことや、新型コロナウイルスの感染第2波が米経済の正常化を遅らせるとの見方などから、米長期金利が低下したことを受け、週初に0.045%を付けた国内の長期金利も0.0%前後まで低下しました。内外の中央銀行が金融緩和姿勢を強める中、景気回復への期待も根強いことから、長期金利は一進一退の動きが続くとみられます。
◆為替 : ドル安地合い継続
主要国が段階的に経済活動を再開し、世界景気の回復期待が強いものの、足元、急ピッチで上昇してきた株価が世界的に調整しつつあり、リスク回避の動きが出やすい状況です。また、米FRBが資産購入に関して少なくとも現行ペースを維持し、2022年末まで政策金利をゼロ%付近で維持するとの見通しを示したことから、米長期金利は低下しています。ドル円は緩やかながら徐々に下値を探る展開となるでしょう。
◆Jリート :底堅い動きが継続
内外の金融政策や財政政策、経済活動再開への期待が広がる中、東証REIT指数は1,700ポイント台半ばまで上昇したものの、週末には米株の急落などを嫌気し、一時1,600ポイント台半ばまで下落しました。ただ、その後は買戻しが優勢になり、堅調な地合いが確認された格好です。米国でゼロ金利政策の長期化見通しが示されるなど、低金利環境が続く中、相対的に高い利回りに着目した買いなどから、底堅い推移が見込まれます。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(5月) 6月19日(金)午前8時30分発表
日本の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は4月に前年比0.2%の下落と、3年4か月ぶりに下落しました。特にガソリン代や宿泊料などが下落しました。
5月のコアCPIは、下落幅が拡大する見込みです。原油安がエネルギー価格を押し下げている上、新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛がサービス価格を下押しした模様です。5月下旬に緊急事態宣言が解除されたものの、外出を手控える動きは続いており、コアCPIは、今年中は前年比マイナスで推移する見通しです。
米小売売上高(5月) 6月16日(火)午後9時30分発表
4月の米小売売上高は前月比16.4%減と前月記録した過去最大の減少幅(同8.3%減)を大きく上回る減少となりました。
新型コロナウイルス感染抑制を図る事業閉鎖や外出制限等の影響が明らかになりました。特に衣料品、家電などが大きく落ち込み、オンライン販売の無店舗小売りのみが増加となりました。ただ、米国では段階的に経済活動を再開していることから、5月は明確な反転が想定され、前月比7.4%増程度を予想しています。とはいえ、高い失業率を背景に消費活動は当分低迷が続きそうです。
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