来週の金融市場見通し(2020年5月18日~2020年5月22日)
■来週の見通し
米国などで経済活動の段階的な再開が進む一方、中国や韓国での新型コロナウイルスの新たな感染拡大を受け、感染第2波への警戒も広がっています。他方、トランプ米大統領は「中国との関係を遮断することができる」と述べたほか、米国に上場している中国企業への監視を強める必要性などにも言及しており、米中対立が深刻化することには注意が必要です。新型コロナや米中の動向のほか、日本の1-3月期の国内総⽣産(GDP)、22日から始まる中国の全国人民代表⼤会(全⼈代)も確認したいところです。
◆株価 :方向感を欠く展開か
日本株は、方向感を欠く展開が予想されます。欧米などで経済活動が段階的に再開されており、日本でも14日、緊急事態宣言が39県で解除されました。これらに伴う国内外の景気回復期待が株価をサポートする見込みです。ただ、新型コロナウイルスの感染は終息しておらず、世界経済の正常化には遠いとみられます。よって日本株は、世界的なウイルスの感染動向や経済活動の再開状況を確認しながらの神経質な動きとなりそうです。
◆長期金利 :ゼロ%付近でのもみ合い
新型コロナウイルスによる経済悪化が長期化するとの警戒が広がる中、黒田日銀総裁は必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じると強調、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は景気低迷の規模とペースは先例になく、追加の政策手段が求められるだろうと述べるなど、内外の中央銀行が一段の金融緩和を辞さない姿勢を示しています。米中の対立再燃も懸念され、長期金利は上昇しにくい状況が続くとみられます。
◆為替 : 徐々に下値を模索
現状、ドルと円はともに安全通貨として市場で意識されていることから綱引きが続いており、基本的には動きにくい状況です。とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け景況感が急激に悪化している中、パウエルFRB議長は否定していますが、市場では近い将来の米国のマイナス金利政策が意識されています。今後、米長期金利が一段と低下基調で推移することで、ドル円は徐々に下値を模索しそうです。
◆Jリート :押し目を探る
経済活動の再開期待などから、東証REIT指数は一時1,700ポイントを上回りました。その後はホテルを中心とするインヴィンシブル投資法人のテナント賃料免除や分配金減額の発表を受け、軟調な動きに。もっとも、ホテル関連リートの分配金減額についてはある程度織り込み済みです。Jリート全体の予想分配金利回りが下振れした場合でも、相対的には高い水準を維持することが見込まれ、不安定ながらも底堅く推移するとみられます。
■来週の注目点
GDP統計(20/1-3月期、1次速報) 5月18日(月)午前8時50分発表
日本の実質国内総生産(GDP)成長率は、昨年10-12月期に消費税増税の影響などで前期比年率マイナス7.1%となりました。今年1-3月期は新型コロナウイルスの影響による世界景気の後退を受け、同マイナス5%程度が見込まれます。
ただ、経済活動の制限が欧米で本格化したのは3月以降であり、日本で緊急事態宣言が出されたのは4月です。そのため、4-6月期のGDP成長率はさらに大幅なマイナスが見込まれます。その後は景気回復が予想されるものの、新型コロナウイルスの感染動向次第であり、予想は極めて不確実な状況です。
ユーロ圏製造業PMI(5月) 5月22日(金)午後5時発表
マークイットユーロ圏総合PMIは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4月は13.6と急激に悪化し、また、注目の製造業PMIも同様に悪化、33.4と拡大縮小の分岐点である50を大きく割り込みました。
ユーロ圏ではサービス業がこれまでかろうじて総合指数を支えていましたが、同ウイルスの感染拡大によって経済活動が大きく制限される中、サービス業、製造業とも急激な落ち込みとなっています。ユーロ圏では段階的に経済活動再開の動きはあるものの、中国からの外需も期待できず、しばらく同指数は歴史的な低迷が続きそうです。
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