来週の金融市場見通し(2020年4月13日~2020年4月17日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)は9日、新型コロナウイルス対策として新たに、地方政府のほか、一般企業に対する総額2兆3,000億ドルの資金供給策を打ち出しました。国内では、7日に安倍首相が緊急事態宣言を発令するとともに、108兆円規模の緊急経済対策を閣議決定しました。東京都は緊急事態宣言を受け、休業要請などを実施します。今後は、内外で感染拡大に収束の兆しが出てくるかが焦点になります。他方、3月の訪日外国人客数や、国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しなども確認したいところです。

◆株価 :底堅い動きを予想

日本株は、底堅い動きが予想されます。新型コロナについては、欧州で新規感染ペースの鈍化傾向が示されつつあります。また、米国でも今月中には感染ペースの鈍化が鮮明となる可能性があります。これらに伴い欧米のロックダウンが緩和されるとの観測が広がれば、株価の押し上げ要因となりそうです。日本では緊急事態宣言が出されたものの、比較的短期の措置にとどまるとみられ、株式市場ではさほど悪材料視されない見込みです。

◆長期金利 :もみ合い継続

政府の緊急事態宣言を受けて、海外投資家が日本国債を売るとの見方があったものの、日銀が国債買入れを増やす姿勢を示していることもあり、長期金利の動きは限定的でした。FRBが新たな資金供給策を発表するとともに、金融緩和の長期化を示唆したことも、内外の金利上昇を抑制した格好です。もっとも、積極的な買い材料も乏しい状況。内外の経済指標や新型コロナの感染状況などを確認しながら、もみ合う展開が続きそうです。

◆為替 : 徐々に下値を模索

FRBが新たに総額2.3兆ドル(約250兆円)の資金供給支援を決めたことなどを受けて、米株が堅調に推移する一方、日本では新型コロナウイルス感染者が急増する局面に入ったと思われることから、日本株は相対的に動きが鈍くなっています。これらを背景にリスク選好のドル安とリスク回避の円高が進行しやすい地合いとなっており、米長期金利の上昇が限られる中、ドル円の上値は乏しく、徐々に下値を探る展開となるでしょう。

◆Jリート :底堅い動きが継続

東証REIT指数は、欧米で新型コロナの感染者数の増加ペースが鈍化したことや、政府の緊急経済対策への期待などから1,500ポイントを回復しました。3月末時点の東京都心のオフィス空室率は僅かに上昇しましたが、引き続き低水準です。平均賃料は75か月連続で上昇しました。予想分配金利回りは5%弱と高い水準です。新型コロナの悪影響については織り込んできているとみられます。不安定ながらも、底堅い動きが続くとみられます。

来週の注目点

訪日外国人客数(3月) 4月15日(水)午後4時15分発表 

訪日外国人客数は、2月に前年比58.3%減の108.5万人となりました(5か月連続で前年比減)。新型コロナウイルスの流行を受け中国で海外への団体旅行が禁止されたことに伴い、中国人訪日客が同87.9%減となったことが、訪日客数全体が大幅減となった主な要因です。

3月の訪日外国人客数も、前年比大幅減が見込まれます。3月以降、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、海外旅行を控える動きが広がっています。新型コロナウイルスの流行はしばらく続く見込みであるため、少なくとも今年前半は、訪日客数の前年比減が続く見通しです。

米鉱工業生産(3月) 4月15日(水)午後10時15分発表

2月の米鉱工業生産指数は、全体で前月比0.6%の上昇、製造業の生産は同0.1%上昇と両指数とも低調な結果となりました。また、鉱工業の設備稼働率は77%となるなど、新型コロナウイルスの感染拡大がサプライチェーンの混乱や需要鈍化を起こす直前の段階で、すでに製造業に勢いは見られませんでした。

製造業は新型コロナウイルスの感染拡大で深刻な打撃を受けており、3月の同指数は大きく落ち込むことが想定されます。鉱工業生産指数は前月比4.2%程度の減少を予想していますが、今後の趨勢は予断を許しません。

 

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