来週の金融市場見通し(2020年4月6日~2020年4月10日)

■来週の見通し

新型コロナウイルスの世界の感染者数が100万人を突破するなど、感染拡大が続いています。米国内の感染者数は早くも20万人を超え、次に感染者が多いイタリアの2倍を超える水準となっています。トランプ米大統領は31日に、「新型コロナウイルスとの戦いで、非常に厳しい2週間になる可能性がある」と述べるなど、感染拡大に対する警戒感が一段と強まっています。国内でも、緊急事態宣言やロックダウン(都市封鎖)への警戒感がくすぶります。感染ペースに歯止めがかかるまでは不安定な動きが続きそうです。

◆株価 :軟調な展開か

日本株は、軟調な展開が予想されます。日経平均株価は3月19日につけた安値から一旦大幅に上昇したものの、世界景気の落ち込みが示されつつある中、当面、株式などリスク資産が売られやすい状況となりそうです。新型コロナウイルスは特に米国で感染が拡大しており、収束の兆しがみられません。今後、日本国内でロックダウンが導入される可能性も否定できず、そうした観測などが日本株を圧迫し続ける見通しです。

◆長期金利 :ゼロ%付近でのもみ合い継続

長期金利はゼロ%を挟んだ動きが継続しました。近々発表される大規模な経済対策に伴い、国債が増発されるとの観測から、長期金利は上昇しやすくなっています。もっとも、日銀は3月に臨時の国債買入れオペを相次ぎ実施してきたことに加え、4月の国債買入れ計画で、前月の計画より買入れ頻度を増やして金利上昇を抑制する姿勢を示しています。長期金利の上昇は限定的とみられ、しばらくはゼロ%付近でのもみ合いが続きそうです。

◆為替 : 下値を模索 

新型コロナウイルスの感染者が特に米国で急増していることから、今後、製造業だけでなく、雇用や個人消費への多大な悪影響が懸念されます。米長期金利は低下基調にあり、ドル売りにつながりやすい状況です。2兆ドル(約220兆円)に及ぶ米国の景気対策等を受けて、米株価が堅調に推移すれば、ドル円を下支えする要因になると思われますが、ひっ迫していたドル需給も落ち着いており、ドル円は徐々に下値を探る展開となるでしょう。

◆Jリート :押し目を探る

Jリート市場は、米国で新型コロナの感染拡大が深刻化する中、投資家のリスク回避の売りに押される展開になりました。日銀がJリートの買入れ額の上限を倍増し、買入れを実施していることは安心材料です。長期金利が低位で推移する中、Jリートの予想分配金利回りは5%を超えており、割安感は強まっています。新型コロナの感染状況に加え、経済対策の内容、緊急事態宣言の有無などを確認しながら、押し目を探ることになりそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(3月) 4月8日(水)午後2時発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断DIは、2月に前月差14.5ポイント低下の27.4となりました。飲食関連が同23.8ポイント低下、小売関連が同15.9ポイント低下となるなど、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出や観光などの減少が、景況感を強く圧迫しました。

3月のDIは、一段の低下が見込まれます。コロナウイルスの感染が世界的に一層拡大しており、国内でも外出の自粛やイベントの中止、工場の操業停止といった動きが広がっています。コロナウイルスの感染収束は遠く、年前半の国内景気は、極めて厳しい状況が続く見通しです。

米消費者物価指数(3月) 4月10日(金)午後9時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は、2月に総合で前年比2.3%上昇し、また、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.4%の上昇と、この5か月で最大となりました。ガソリンなどエネルギー価格は前月比2%の下落となっています。

エネルギー価格はサウジアラビアとロシアによる原油価格競争や新型コロナウイルス感染拡大による景気減速懸念を背景に低迷が続くでしょう。また、同ウイルス感染拡大の影響から、外出規制など人の動きが制限されており、個人消費が今後大きな影響を受けることが想定され、同指数は中長期的に低迷することが予想されます。

 

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