来週の金融市場見通し(2020年3月23日~2020年3月27日)
■来週の見通し
米連邦準備制度理事会(FRB)はゼロ金利政策決定に続き、資金繰り支援のための緊急措置を発動すると発表しました。他方、トランプ米政権は、国民への現金給付を含めた総額1兆ドル規模の経済対策を取りまとめました。また欧州中央銀行(ECB)は、大規模な資産買入れプログラムを決定しました。もっとも、投資家心理が回復したのは一時的で、先行き懸念はなかなか払しょくできない状況です。新型コロナウイルスの感染拡大に収束のめどが立つまでは厳しい状況が続く可能性があります。
◆株価 :値動きの荒い展開が続く
日本株は、引き続き値動きの荒い展開が予想されます。新型コロナウイルスの感染を抑制するための外出制限などのため、世界的な景気減速は不可避と考えられます。また、株式市場の変動性が高止まりしており、投資家は積極的にリスクをとりにくい状況となっています。とはいえ、各国における景気・市場への支援策が功を奏し、大規模な企業倒産が相次ぐ兆しは特段みられません。そのため、一方的な株価下落は考えにくいとみられます。
◆長期金利 :プラス圏で居所を探る
米政権が総額1兆ドル規模の経済対策を取りまとめたことを受け、国債増発観測が広がり、米長期金利が上昇したことや、日本でも大型経済対策で国債が増発されるとの見方に加え、投資家の現金比率を高める動きなどから、国内の長期金利は0.10%付近まで上昇しました。日銀が予定外の国債買入れオペで金利上昇を抑制しようとしましたが、反応は限定的でした。しばらくは、米長期金利をにらみながら、居所を探ることになりそうです。
◆為替 : レンジ内で乱高下か
新型コロナウイルス感染による世界景気に対する影響度合いが計り切れず、市場ではリスク回避の動きが激しくなっています。主要7か国(G7)は協調して利下げや資金供給の手当てを行っているものの、感染拡大が継続している現状、市場の混乱は継続しており、その効果は極めて限定的です。ドルの上値は限定的な一方、市場の混乱からドル需給がひっ迫しており、ドル円の下値を支えています。しばらくは方向感を見定めにくい状況です。
◆Jリート :底値を探る
東証REIT指数は、大幅に続落しました。各国の中央銀行、政府が思い切った政策を打ち出していますが、投資家心理が改善せず、Jリート市場も運用資産を現金化する動きから、下げ止まらなくなっています。とはいえ、3月期末を控えた金融機関の決算対策売りが一巡してくると、下げが一服する可能性があります。予想分配金利回りも6.8%程度と魅力的な水準です。感染状況などを確認しながら、底値を探る展開となりそうです。
■来週の注目点
全国百貨店売上高(2月) 3月24日(火)午後2時30分発表
1月の全国百貨店売上高は前年比3.1%減と、4か月連続でマイナスとなりました。消費税増税による影響が残っているほか、記録的な暖冬のため主力である衣料品などの売上が苦戦しました。
2月の百貨店売上高は、大幅なマイナスが見込まれます。1月下旬以降、新型コロナウイルス問題が本格化し、特に中国人旅行客が激減しています。これに伴い、インバウンド消費(訪日客による消費)についても、大幅に減少している模様です。3月以降は世界的にウイルス感染が広がる中、各国で入出国の制限措置が打ち出されているため、百貨店の苦戦は当分続く見通しです。
米個人消費支出(2月) 3月27日(金)午後9時30分発表
1月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.2%増と市場予想を下回り、また、PCE価格指数は総合で前年比1.7%上昇と前月より上昇したものの、米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標には届きませんでした。
個人消費は米国のGDPの約70%を占め、ここまで米国経済をけん引してきましたが、新型コロナウイルスの感染が米国でも広く拡大し、今後米国の個人消費は大きく減速する懸念があります。2月の個人消費支出は前月比0.3%増、PCE価格指数は総合で前年比1.5%程度の上昇を想定していますが、今後の趨勢に要注意です。
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