来週の金融市場見通し(2020年3月16日~2020年3月20日)

■来週の見通し

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国が協調減産で折り合わず、原油価格が急落したこと、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスはパンデミック(世界的な大流行)と宣言したこと、また米国による欧州からの渡航制限を受け、世界経済の先行き懸念が広がったことなどから、投資家の警戒感が一段と強まりました。市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)での1%の利下げ、新型コロナの影響を抑制する経済対策を催促しています。米国が早めに政策を打ち出せないと、荒い展開が続くことも想定されます。

◆株価 :不安定な動きが継続

日本株は、不安定な動きが続きそうです。新型コロナウイルスの感染が欧米などで拡大しており、それに伴う世界経済の混乱や企業業績の悪化が、引き続き懸念されます。これにより株式市場の変動性が高まる中、投資家のリスク回避姿勢が著しく強まっています。金融・財政政策を用いた各国の景気支援策を受けて日本株が反発に転じる場面も想定されますが、ウイルス感染が収束に向かわない限り、持続的な株価上昇は期待薄とみられます。

◆長期金利 :日米の金融政策にらみ

投資家のリスク回避姿勢が強まっているにも関わらず、長期金利の低下は限定的で、日銀が金融政策決定会合でマイナス金利の深掘りには動かないとの観測が広がる中、週末には0.0%に迫りました。また、週末に日銀は金利上昇を抑制するため臨時の国債買いを実施しましたが、長期金利の低下は一時的でした。米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利下げなどを決定しても、国内の長期金利の低下は限定的とみられます。

◆為替 : 方向感見定めにくい

新型コロナウイルス感染による世界景気への悪影響は多大なものになると思われ、リスク回避の動きが激しくなっています。主要7か国(G7)の政府や中央銀行が協調して利下げ等対応しているものの、市場の期待には届かず、世界的な株価急落を受けてドル円は上値が重い状況です。一方で市場の混乱からドル需給がひっ迫しておりドル円の下値を支えています。しばらくは新型肺炎関連の報道に振らされ、方向感を見定めにくい状況です。

◆Jリート :落ち着き待ち

東証REIT指数は荒れた展開が続きました。投資家のリスク資産を圧縮する動きから、Jリート市場からも資金が流出した格好です。3月期末を前にした金融機関などからの益出し売りも押し下げ要因。もっとも、予想分配金利回りは4.8%台まで上昇しており、割安感は一段と強まっています。五輪延期などの悪材料を十二分に織り込んだ可能性はありますが、内外の金融市場が落ち着きを取り戻すまでは、積極的な買いは手控えられそうです。

来週の注目点

訪日外国人客数(2月) 3月18日(水)午後4時発表 

訪日外国人客数は、1月に前年比1.1%減の266.1万人となりました(4か月連続で前年比減)。韓国からの訪日客の大幅減が主な要因です(1月は同59.4%減)。

2月の訪日外国人客数は、中国で発生した新型コロナウイルスのため、前年比大幅減が見込まれます。中国では、1月27日に海外への団体旅行が禁止され、それ以降、中国人訪日客が大幅に減少している模様です。さらに足元、コロナウイルス感染拡大を受け、出入国を制限する動きが世界的に広がっています。これにより、訪日外国人客数は、少なくとも今年前半は前年比減が続く見通しです。

米小売売上高(2月) 3月17日(火)午後9時30分発表

1月の米小売売上高は前月比0.3%増と市場予想と一致し、4か月連続で増加しました。飲食、自動車ディーラー、建材、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は前月比変わらずとなりました。小売店での需要は安定的な状況が続いており、個人消費は依然堅調です。

しかし今後は、新型コロナウイルス感染拡大の悪影響が広範囲に及んでおり、個人消費の大きな押し下げ要因となりそうです。無店舗小売りが依然堅調なものの、どの程度の影響が出てくるか要注意です。2月は総合で前月比0.2%増程度、コアで同0.5%増程度を想定しています。

 

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