来週の金融市場見通し(2020年2月17日~2020年2月21日)

■来週の見通し

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大ペースは鈍化したとの見方が一旦広がりましたが、中国湖北省が診断基準を変更し感染者数が急増したことで、感染拡大の収束が見えにくくなっています。新規の感染者が減少傾向にあるとの見方が強まるまでは、内外の金融市場は神経質な動きが続く可能性があります。新型ウイルスの感染拡大のペースに加え、来週は1月の貿易統計や訪日外国人客数などが発表される予定になっており、これらへの感染拡大による影響も確認したいところです。

◆株価 :方向感を欠く展開か

日本株は、方向感を欠く展開が予想されます。新型肺炎の拡大状況やそれによる中国経済への影響が不透明である中、積極的にリスクを取りにくい状況となる見通しです。また、日本の昨年10-12月期の国内総生産(GDP、17日発表)が消費税増税の影響などで大幅なマイナス成長となる見込みであることも、株価を圧迫しそうです。ただ、為替は比較的安定しているため、日経平均株価は2万3千円台半ばでは底堅い動きを示すとみられます。

◆長期金利 :一進一退

新型ウイルスへの警戒は、安全資産とされる国債の買い材料(価格上昇、利回り低下)も、警戒が一旦後退する場面もあり、長期金利は一進一退の動きが継続しました。日銀は超長期金利の押し上げを意図し、2月から残存期間10年超の超長期国債の買入額を減らしたことも、長期金利の低下を抑制している模様です。ただ、プラス圏にある20年債や30年債利回りの上昇は限定的。感染状況などをにらみながら居所を探る展開になりそうです。

◆為替 : 方向感なくレンジ継続

中国で発生した新型肺炎の感染拡大により調整していた株価が落ち着きを取り戻したことから、ドル円は底堅い推移となっていますが、レンジ内の動きに終始しており、方向感を見出せません。今後は新型肺炎の拡大状況や中国景気への影響を見極めていくことになると思われますが、ドル円が110円半ばを超えて大きく上昇するためには、新たな材料が必要と思われ、しばらくは狭いレンジの中、方向感の乏しい状況が続くと思われます。

◆Jリート :上昇余地を探る

東証REIT指数は、新型ウイルスの感染拡大による世界経済への悪影響が警戒される中、堅調な地合いが継続しました。マイナス圏で推移する長期金利に対し、Jリートの分配金利回りが3%半ばと相対的に高い水準にあることが、買い材料になっている模様です。約2か月半ぶりの水準まで上昇しているため、利益確定売りに押される場面も想定されますが、利回りの高さに着目した投資家の買いなどに支えられそうです。

来週の注目点

GDP統計(19/10-12月期、1次速報)  2月17日(月)午前8時50分発表 

日本の実質国内総生産(GDP)成長率は、昨年7-9月期まで底堅いプラス基調で推移した後、10-12月期は前期比年率マイナス4.5%程度が見込まれます。10月の消費税増税に伴い消費が一旦落ち込んだと考えられます。

増税の影響は、前回2014年4月の増税時に比べれば小さめとみられます。よって今年1-3月期のGDPは、小幅なプラス成長に戻る可能性があります。ただ、新型肺炎の影響で中国景気が急減速した場合、輸出減などを通じ日本のGDPはマイナス成長が続きそうです。

ユーロ圏製造業PMI(2月)  2月21日(金)午後6時発表

マークイットユーロ圏総合PMIは、1月は51.3と前月より改善し、また、注目の製造業PMIも、引き続き拡大縮小の分岐点である50を割り込んだ状況が継続しているものの、47.9と昨年4月の水準まで改善しました。

ユーロ圏ではサービス業が総合指数を支えるなか、製造業を取り巻く不透明感がここ数週間で幾分解消されつつあることが示唆されます。しかし今後は、中国で発生した新型肺炎の悪影響が懸念され、中国など外需の動きは引き続き鈍いと思われることから、しばらく製造業PMIは低迷しそうです。

 

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