来週の金融市場見通し(2019年12月30日~2020年1月10日)

■来週の見通し

中国が1月から859品目の輸入品に対する関税を引き下げると発表したことや、米中貿易協議の第1段階合意の署名への前向きな発言が相次いだことから、貿易摩擦への懸念が後退しています。合意の署名については1月初旬との見方が示されていますが、まだ具体的な日程は発表されていません。また、合意の内容については、署名後に公表される予定です。合意内容が期待通りであれば安心感が広がりそうです。その後は合意の履行や、第2段階以降の協議に関心が移ることになります。

◆株価 :堅調な展開を予想

日本株は、堅調な展開が予想されます。米中貿易協議の部分合意を受けた署名への期待が、年末年始の株価を支える見通しです。また、世界経済の後退懸念は和らいでいるほか、日米などでは緩和的な金融環境が来年も続くとみられます。そうした見方から、年明けの株式市場は楽観ムードが優勢となりそうです。ただ、日本の休暇中に発表される海外の経済指標が市場予想を大きく下回った場合、ムードが悪化する可能性もあるため要注意です。

◆長期金利 : ゼロ%近辺で居所を探る

長期金利は、週前半は0.0~0.005%、週央以降はマイナス圏で推移しました。米中貿易摩擦への懸念後退は、安全資産とされる国債の売り材料(価格下落、利回り上昇)ですが、日銀が強力な金融緩和を粘り強く続ける中、良好な需給を背景に、再びマイナス圏に押し戻された格好。引き続き、米中の動向をにらんで居所を探ることになりそうです。ただ、プラスに浮上すると押し目買いが強まるとみられ、ゼロ%近辺での動きが続きそうです。

◆為替 : レンジ取引継続

ドル円は、米中貿易協議が第1段階の合意に至ったものの、合意の詳細公表と署名は1月初旬と伝えられていることから、年末に向けて様子見姿勢がより鮮明になっていくと思われます。また、日米欧とも相当期間、政策金利の現状維持が見込まれており、手掛かり難から、しばらく一進一退の動きが継続しそうです。米中貿易協議の合意内容が市場の期待に届かない場合、年明けにはリスク回避の円買いなど、波乱の可能性は否定できません。

◆Jリート :戻りを探る

東証REIT指数は、長期金利の上昇が一服する中、押し目買いから堅調な動きになり、26日には2,160ポイントと、2週間ぶりの高値水準まで上昇しました。もっとも翌日は利益確定売りに押される展開に。長期金利が低位で推移する中、Jリートの予想分配金利回りは3.6%弱と相対的に高い水準です。Jリート市場の先高観は根強いことから、東証REIT指数は2,100ポイント台前半での値固めを経て、戻りを探ることになりそうです。

来週の注目点

家計調査(11月) 1月10日(金)午前8時30分発表 

家計調査によると、実質消費支出(二人以上の世帯)は9月に前年比9.5%増と大きく増加した後、10月は同5.1%減となりました。消費税増税前の駆け込み購入とその反動減が主因ですが、10月の減少については大型台風の影響もあった模様です。

11月の実質消費支出も、前年比減が見込まれます。増税の影響は前回(2014年4月)に比べれば軽微との見方が優勢ですが、今回は実質所得が低迷する局面での増税であるため、消費に対し相応の悪影響を及ぼすことは否定できません。そうした中、今後の消費動向を探る上で、11月の家計調査が注目されます。

米ISM非製造業景況指数(12月) 1月8日(水)午前0時00分発表

米供給管理協会(ISM)が発表した11月の非製造業景況指数は53.9となり、市場予想を下回りました。足元、景況指数が2010年以来の低水準となった一方、雇用と新規受注指数は上向きとなっており、サービス業が第4四半期に入っても何とか持ちこたえている様子がうかがえます。

12月は54.5程度と若干の改善が見込まれていますが、引き続き製造業が厳しい中、米中貿易摩擦の影響がどこまで米国のサービス業に悪影響を及ぼしているのか、今後の同指数の推移に注目です。

米雇用統計(12月) 1月10日(金)午後10時30分発表

11月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比26万6,000人増と市場予想を上回り、今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比3.1%上昇と、やはり市場予想を上回る堅調な伸びとなりました。また、失業率は3.5%と1969年以来の低水準となった今年9月に再度並びました。

労働市場は力強さを維持しており、賃金も堅調に推移していることから、今後も個人消費が米国の景気拡大をけん引しそうです。また、12月の非農業部門就業者数は前月比17万人程度の増加、平均時給は前年比3.1%程度の上昇とやや強めの想定をしています。

 

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