来週の金融市場見通し(2019年12月23日~2019年12月27日)

■来週の見通し

米中貿易協議の「第1段階」の合意については、1月初旬に署名する見通しで、詳細な内容については署名後に公表される模様です。詳細な内容が判明した後には、合意内容の履行や第2段階以降の交渉などが焦点になるとみられるものの、それまでは米中対立への思わくで振らされる可能性は低くなりそうです。年末で市場参加者が少なくなることが見込まれることから、値動きに乏しい相場が見込まれます。とはいえ、薄商いの中、小さな材料でも値が飛び、相場が大きく動く可能性もあり油断はできません。

◆株価 :利益確定売りに押される展開か

日本株は、利益確定売りに押される展開が予想されます。米中の貿易協議が第1段階の合意に至り、日経平均は一時2万4千円台に上昇したものの、合意の詳細はまだ不明確です。また、米国や日本の株価指数は年初来で約20%上昇しており、高値警戒感も意識されています。ただ、中国などの景気には回復の兆しがみられ、世界経済への過度な悲観は和らいでいます。よって株価が調整局面となっても、一時的なものにとどまる見込みです。

◆長期金利 : 引き続き居所を探る

長期金利は20日に0.005%と、約9か月ぶりにプラス圏に浮上しました。米中貿易摩擦への警戒が和らぐ中、中銀のなかで初めてスウェーデン中銀がマイナス金利政策から脱却したことが背景。日銀金融政策決定会合は現状維持。黒田日銀総裁は、マイナス金利の深掘りは選択肢だが、超長期金利はもう少し上昇してもおかしくないとの見方。やや低下しにくくなっていますが、上昇も限定的で、ゼロ%付近で居所を探ることになりそうです。

◆為替 : 方向感ないまま年末へ

ドル円は、米中貿易協議が第1段階の合意に至ったことから下値は限定的と思われます。しかしその詳細や両首脳の署名は1月初旬と伝えられていることから、さらに上値を追う展開にはなっていません。また、日米欧とも相当期間、政策金利の現状維持が見込まれている中で、方向感は出づらく、今後も一進一退の動きが継続しそうです。ドル円が109円台半ばから後半を超えて上昇していくには新たな材料が必要と考えています。

◆Jリート :買戻しのタイミングを探る

東証REIT指数はザラ場で2,099ポイントまで下落も、その後は持ち直し。11月下落時の2,094ポイント手前で下げ止まった格好です。長期金利が上昇しているとはいえ、日銀がゼロ%程度の水準に誘導する政策を続けている限り、一段の金利上昇は限定的。Jリートの予想分配金利回りと長期金利の差は3.64%程度で、2013年以降の平均値を15bp(1bp=0.01%)上回る水準。2,100ポイントに近づくと押し目買いも期待できそうです。

来週の注目点

鉱工業生産指数(11月、速報値) 12月27日(金)午前8時50分発表 

鉱工業生産指数は10月に前月比4.5%低下し、98.6(2015年=100)となりました。消費税増税のほか大型台風の影響もあり、10月の低下幅は極めて大きなものになりました。業種では、特に自動車や機械の生産指数低下が全体の指数低下に寄与しました。

11月の生産指数も、前月比低下が見込まれます。台風といった一時的要因を除いても、輸出の低迷などを背景に、生産指数は低下傾向となっています。当面は在庫調整にも圧迫され、生産は弱含みで推移しそうです。

米耐久財受注(11月) 12月23日(月)午後10時30分発表

10月の米耐久財受注は、前月比0.5%増と市場予想を上回り、また、設備投資の先行指標となる航空機など輸送機器を除く非国防資本財(コア資本財)受注は同1.1%増と、今年1月以来の大幅な伸びを記録しました。

世界的に製造業に底打ち感が出始めているという見方があるものの、設備投資は第3四半期の米経済成長の重しとなっており、鉱工業生産も10月まで勢いに欠ける状況が続いていることから、同指標の改善傾向が継続するか注目されます。11月は総合で前月比1.5%増、コア資本財で同0.2%減を想定しています。

 

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